「エスティマ」「キューブ」生産を終える根本理由 人気の高かった国産車種が次々と消えていく

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その結果、現行キューブは共感を呼び、2010年頃は1カ月に4000~5000台を登録した。今のセレナに近い台数だったが、次第に売れ行きを下げていく。近年では緊急自動ブレーキの非装着が大きなマイナス要因となった。

それでも直近で1カ月に400~500台は登録され、特別仕様車を加えた直後は相応に台数を伸ばす。国内市場に合った商品だから、廃止するには惜しいクルマだ。実際、以前は次期型の開発も計画されていたが、日産の世界戦略とのバランスもあって立ち消えになったようだ。

SUVの流れを変えた初代パジェロ

1982年に発売された初代パジェロは、SUVの流れを変えた。それまでのランドクルーザーなどは積雪地域や森林で使う作業車だったが、初代パジェロは乗用車感覚を強めて一般ユーザーが購入した。これをきっかけに、他社のSUVも一般ユーザーを想定して開発されるようになった。その結果、1980年代から1990年代の前半には、パジェロのようなオフロードSUVがブームを迎えている。

しかし1990年代の中盤になると、RAV4やCR-Vなど、前輪駆動をベースにしたシティ派SUVが登場する。オフロードSUVは、悪路走破力は高いが、運転のしやすさ、居住性、価格の割安感でシティ派に負けてしまう。

2006年に発売された現行型パジェロ(写真:三菱自動車)

そのためにオフロードSUVは売れ行きが下がり、テラノ、サファリ、ハイラックスサーフ、ビッグホーンなどは販売を終えた。パジェロも現行型を2006年に発売したが、国内販売の主力はシティ派のアウトランダーに移り、パジェロは歩行者保護要件に対応できないこともあって8月に国内販売を終えた(海外では継続的に売り続ける)。

日本のSUVの使用環境は、悪路といっても雪道までだ。前輪駆動ベースのアウトランダーでも、走破力に不満はない。三菱はオフロードSUVのパジェロは役割を終えたと判断したのだろう。

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