「エスティマ」「キューブ」生産を終える根本理由 人気の高かった国産車種が次々と消えていく

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そこで改めてセダンの価値を見直したのがマークXだ。セダンはミニバンに比べて天井が低く、重心も下がる。後席とトランクスペースの間に隔壁があり、ボディ剛性を高めやすい。

つまりミニバン時代におけるセダンの価値は、低重心で剛性の高いボディーが生み出す優れた走行安定性と快適な乗り心地、トランクスペースを隔離したことによる走行音の静かさだ。この安全と快適という、新たなセダンの価値を表現したのが、全高を25mm下げたマークXであった。

2019年12月に生産終了となる「マークX」(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

マークXは2009年に現行型へフルモデルチェンジされたが、その後は改良を怠った。クラウンやカムリなどのLサイズセダンが、ハイブリッドを主力ユニットに転換する中で、マークXはV型6気筒2.5Lと3.5Lのノーマルエンジンで据え置かれた。

5~6年前にトヨペット店のセールスマンが「今はエコカー減税の対象にならないと、お客様が購入の候補に入れてくれない。マークXにもハイブリッドを搭載してほしいが、トヨタにその気はない」と悩んでいた。

スポーティー志向でハイブリッドを積まないなら、せめて2Lターボを用意するなどのケアは行うべきだった。マークXがフルモデルチェンジを受けずに生産を終えると、Lサイズセダンの選択肢はさらに乏しくなる。

穏やかに走るキューブの価値観

キューブの初代モデルは1998年に発売され、背の高いコンパクトカーの先駆けになった。2002年には2代目が発売され、角に丸みのある水平基調のボディは存在感が強く、居住性も良好だった。

2008年に現行型となった日産「キューブ」(写真:日産自動車)

そして2008年に現行型が登場する。内装は和風をテーマにデザインされ、インパネは緩い曲線を描く。ガラスルーフには障子を模した「SHOJIシェード」が備わり、車内を柔らかい光で満たした。シートは前後席ともにソファ風で、独特のリラックス感覚が持ち味だ。

今のクルマのデザインは、大半がカッコよくて速いイメージだが、キューブは逆にゆっくりと穏やかに走る価値観がある。

次ページ2010年ごろのキューブの売れ行きは?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事