クルマをサービス起点として考える時代の勝機 モビリティ革命を発展させる「CARS」とは?

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従来、「クルマや車関連用品は、特別なものであり、独立したチャネルで、専門的な知識を有したスタッフが詳細に説明して販売しなければ失敗する」という慣習でした。言い換えれば、「スーパーでは売れっこない!」というのが、業界の常識だったのかもしれません。

CARSという提言に期待すること

しかし、「自動車生活」も暮らしの一部として捉えれば、家電や日用雑貨と一緒にクルマや関連商品を販売したりサービスをスーパーで提供することも可能です。

『自動車(クルマ)が家電になる日~2030年‐これ1冊で「モビリティ革命」の全容がわかる!~』(あさ出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

EVの充電器が、商業施設の至る所で見られるようになったのもその前哨かも知れません。日常の買い物の顧客接点を有し、生活者視点で商品価値を伝えられるリテーラーは、最新技術を広める絶好の舞台になると思います。

「完全自動運転で、道中は本当に豊かになるのか」

「無人コミュニティーバスを巡回させれば、過疎地域は活性化するのか」

「交通渋滞がなくなれば、家族での遠出はもっと増えるのか」

CARSという枠組みは、私が考える1つの例です。

お伝えしたいのは、技術発展を育み、生活者の素朴な疑問を解決し、自動車生活の次世代を、ワクワクするものにするために、議論やビジネスの創出を発展させていきたいということです。CARSという1つの提言が、新しい時代の幕開けに向け、議論を刺激するものとなれたら幸いです。

鈴木 誠二 法政大学地域研究センター客員研究員

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すずき せいじ / Seiji Suzuki

東京成徳大学経営学部講師。法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程満了。業界の変革期に直面した事業会社において、研究活動と連動したさまざまな事業開発経験を有する。現在は、担い手教育に勤しみながら、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)に所属し、次世代ユーティリティの発展に取り組んでいる。

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