2017年の2月。佐藤さんは会社の健康診断を受け、マンモグラフィーで再検査に。3月と5月に乳腺専門病院で精密検査を受けたが、異常は見つからなかった。
若い頃から佐藤さんは、「乳腺が発達しており、がんが見つかりにくい体質」「生理前に乳腺が張り、痛いかもしれないが、生理後におさまるなら問題ない」と医師に言われてきた。
しかし9月。痛みやしこりが気になり、近所の婦人科に飛び込む。結果は再び、要精密検査。
前回と同じ乳腺専門病院で再検査したところ、5月の画像データにはなかったものがある。針生検の結果は、初期のがんだった。がんセンターに転院し、11月30日に摘出手術を受けた。
摘出後は、再発予防の治療に入る。乳がんには、女性ホルモンの影響を受けるものと受けないものとがあり、多いのは女性ホルモンの影響を受けるもの。その影響を抑えるために、ホルモン治療に入るのが一般的だ。
佐藤さんは、術前検査ではホルモンの影響を受けるタイプのがんだと言われていたため、手術の傷が治る年明け辺りには、ホルモン治療を受けながら復職するつもりだった。
抗がん剤による重篤な副作用が現れる
ところが、摘出したがんを病理検査で調べたところ、ホルモンの影響をほとんど受けないがんだということが判明し、急遽抗がん剤治療に切り替えられる。抗がん剤治療が始まると、佐藤さんはみるみる弱っていった。
「個人差がありますが、私の場合は想像を絶するほど苦しい副作用で心身ともにきつくて、家のことどころか、自分のことさえままならなくなりました。つらくて情けなくて、何を見ても涙が出て、自分が自分でなくなってしまったみたい。不安で不安でたまらず、眠れない、食べれない日が続きました」
半年間の抗がん剤治療のうち、前半と後半で、別の抗がん剤治療を受ける予定だった。しかし後半の治療の終盤、突然高熱に見舞われる。抗がん剤治療中の発熱は珍しいことではなく、数日は自宅で様子を見ていたが、解熱する気配がなく、緊急入院。入院後も原因が特定できず、40度ほどの高熱が1週間以上続く。
その後CTにより、ようやく抗がん剤による重篤な副作用「間質性肺炎」ということが判明。間質性肺炎は重症化すると命に関わる。抗がん剤はストップし、今度は肺炎治療を受けることに。
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