児童相談所職員にのしかかる何とも過重な負担 虐待対応で月100時間残業も、独自調査で判明
同調査結果で、児童福祉司の過重労働の参考値となるのが、月の時間外労働時間である。平均時間外労働時間が多かったのは、さいたま市(52.4時間)、名古屋市(51.4時間)、三重県(47.3時間)、徳島県(46.8時間)など。全自治体を見渡しても、総務庁調査(2017年)における地方公務員の月の平均時間外労働時間(13.2時間)を上回る自治体が多かった。
月の時間外労働がとくに多かった職員は、千葉市(121時間)、三重県(97時間)、名古屋市(94.3時間)などにいた。これらは過労死ラインとされる月80時間を超えており、長時間労働が深刻といえる。
では児童福祉司の増員により、現場の労働環境は改善されつつあるのか。時間外労働時間の最大値が月80時間を超えた徳島県の児相担当者は、「相談件数が増え続け、2018年にピークを迎えた。人数が増えても時間外労働時間も増えている」と話す。
緊急対応も長時間労働の一因に
長時間労働の背景には、児童福祉司の勤務スタイルの問題もある。そもそも児童福祉司は、9時から17時といった一般的な会社員のような勤務体制は取りにくい。日中、仕事や学校に行っている親や子どもに会えるのは、夕方以降になる。家庭訪問を終わらせ、夜は報告書などの書類作成に追われる。
また児相の緊急対応のルールも、勤務時間が長くなる一因である。児相は土日問わず、虐待の通告から48時間以内に安全確認をしなければならない決まりとなっている。
職員の時間外労働時間の最大値が80時間を超えるさいたま市の児相担当者は「通告への対応などの緊急対応に追われてしまい、アフターフォローのための支援時間が十分に取れないこともある」と話す。同90時間を超えた名古屋市の児相担当者は、「最も残業時間が多い職員は、緊急対応に特化した介入担当の職員」と明かす。名古屋市では、緊急対応をする介入担当の職員と、その後のアフターフォローをする支援担当の職員とを分けているという。