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「元受刑者専用」の求人情報誌が生まれた理由 「非行歴・犯行歴」を持ちながら生きていく

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  • 肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト
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『Chance!!』の掲載企業数は延べ40社以上。これまでに230名が応募し、内定者が46名、就業中の方が19名いる(2019年9月時点)。三宅さんは、その19名とはできるだけ連絡を取り合い、励ましたり、愚痴を聞いたりして、就業が続くようサポートを行っている。

求人情報誌は通常、求人を掲載したら制作側の役割は終わり。後は企業と応募者に直接やり取りしてもらうため、関与することはほぼないが、『Chance!!』の場合は異なる。

「元受刑者の方は、孤独を感じると飛んじゃうんですよ。(企業と)合う・合わないもありますが、会社側が受け入れようとしても、心を開けない元受刑者もいる。これまで人に頼らずに生きてきて、うまくいかなければ飛んで……を繰り返してきた人たちは、なかなか急に変われないんです」

三宅さんのもとへは、『Chance!!』を通じて入社が決まった元受刑者から、感謝の手紙が届くことが多くある。その一通一通に返事を書くのはもちろん、入社日には企業へ行って、直接お祝いの言葉を伝えることも。そこでLINEの連絡先などを交換し、見守っていくのだ。

最近も、建設会社に就職が決まった30代の男性と、印象的なエピソードがあるという。その方は三宅さんへ感謝するあまり、食事をごちそうしてくれたのだそう。

「その人が入社したので、会社まで会いに行ったんです。そうしたら、三宅さんのおかげでこんないい会社に入れて、本当に感謝しています、と。それで、『お給料が出たらごちそうさせてください』と言うので、無理のない範囲でぜひぜひとお伝えしました」

行きたいお店を聞かれた三宅さんは「安居酒屋がいいです、高いものは受け付けません」と回答。2人で飲みに行き、毎日がいかに楽しいか、目を輝かせて話す彼と語り合ったという。元受刑者たちと、四六時中寄り添うことはできないけれど、何らかの形でつながっていきたい、と三宅さん。例えば、人に謝った後に会う人として、私を使ってほしいと続ける。

「誰かに悪いことをしてしまい、心に引っかかっていることがあるとします。謝れば魂の曇りが取れますが、時間が経つと言いづらくなってしまいますよね。そんなときは、謝る日時を決めて、その後に大事な人と会う約束をするんです。そうすると、『さっき人に謝ってきたんだよと』と胸を張って会えるし、報告はしなくても、気持ちが晴れておいしいお酒が飲めますから。そのときに、もし会える人がいなかったら、私を呼んでもらえれば」

三宅さん自身の原体験

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過ちを犯したとしても、人は本気でやり直そうと思えばきっとやり直せると、三宅さんは信じている。そこには、彼女自身の原体験もある。

中学時代、ちょっとした憧れから不良の道へ進み、タバコや酒、夜遊びに明け暮れるように。高校へ進むも、彼氏と同棲をはじめ、学校へ行かずに喫茶店でアルバイトをする日々。ある日、バイト先に父と担任がやってきて、高校を退学になったことを告げられた。

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【「自分の人生は今がどん底」】

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