実録!「連帯保証人」になってわかったMMTの本質

会社を畳んで考えた「貨幣とは負債である」

貨幣とは、負債であり、負債が成立する理由はその背面に信用が生まれるからである。この場合の信用とは、あいつは嘘を言わない信用のできる奴だとか、清廉潔白で信用のおける人間だという場合の信用とは少し違う。債務者は、必ず期限までに返済するという蓋然性のことである。重要なことは、この負債が譲渡可能であるかどうかということである。

担保があれば、その蓋然性は高まるし、老人よりは若者のほうが、長期的な返済を行える可能性が高くなる。

こうした貨幣に関する考え方は、これまで私たちが慣れ親しんできた伝統的な貨幣観である商品貨幣論とは随分違う。もちろん商品貨幣論が間違いなのであって、今日の貨幣現象の多くは商品貨幣論ではうまく説明することができない。

リーマン・ショックのことを考えてみればいいと思う。

サブプライムローンなる怪しげな負債を証券化したものが銀行の商品になり、バブルの引き金になっていったわけだが、そもそもサブプライムローンなる返済能力の怪しい負債がどうして貨幣のように振る舞うことができてしまったのか。格付け会社は、インサイダーであるにもかかわらず、無責任な裏書きをしてしまったのだった。あれは、一種の詐欺であった。

金融ビジネスの世界では、実体の裏付けのない信用だけが一人歩きしていたのである。もともと現物の商品や、通貨を媒介しないコンピューター上の印字取引は、これまでの商品貨幣論をはるかに追い越してしまっている。そこに詐欺的な取引が入り込む余地ができた。

信用がマネーとして機能し始めるのは…

さて、マネーとは信用の特殊な形態であり、貨幣交換とは信用取引を清算することであり、通貨とは信用関係を基礎にして流通する代用貨幣にすぎない。

現代貨幣論のポイントは、すべてのマネーは信用だが、すべての信用がマネーであるわけではないというところだ。その違いは、譲渡できるかどうかにある。借用書は、それが2当事者間だけの契約である限りは、融資でしかない。

21世紀の貨幣論』の著者であるフェリックス・マーティンは言う。信用はそのままでは、マネーではない。信用書を第三者の手に渡すことができるようになる、つまり、金融用語でいう「譲渡」あるいは「裏書き」ができるようになると、信用に命が吹き込まれ、マネーとして機能し始める。

MMTは、国民の負債である税を、国家が創出した貨幣で受領するということによって、この難問に1つの答えを与えたのだと言う。これはなかなかすばらしいアイデアである。

MMTは、現実の経済政策に対しても、まったく新しい知見を提供することになる。

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