教育熱心な親が「人のせいにする子」を作るワケ

「宿題廃止」の中学校校長が明かす真理

幼稚園くらいまでは大半の親が、余裕をもって子どもの振る舞いを眺めているものですが、例外なのが小学校の受験組。早い子は3歳くらいから塾に通うことになります。公園で遊びたいと泣く子どもを塾に連れていき、礼儀を覚えさせ、塗り絵をさせ、絵を描かせる。

小さいときから四六時中、親がそばにいて、あれをしなさい、これをしなさいと言われて育った子どもは、自分で考えて行動するのが苦手になります。勉強もそうです。学習習慣をつけさせたいと思って、無理やり机の前に座らせようとするほど、子どもは自らの意思で学ぶ力を失っていきます。

大人しいけれど「不幸を感じるのが得意な子」

そんな子の多くは小学校の高学年から中学生ぐらいになると、うまくいかないことがあったときに自分で解決しない子に育ってしまいます。感情が外に出る子は人のせいにし、感情が内にこもる子は自己否定に走ります。一見すると「おとなしくていい子」のように見えて、実は「不幸を感じるのが得意な子」になる恐れがあるのです。

自律、という点でもうひとつ重視したいことがあります。それは「子ども本来の好奇心を奪わないこと」。

先日お会いした編集者の方はお子さんがまだ2歳。その方からこんな相談を受けました。

「子どもが中学生になったときに、冷めた子になってほしくないんです。熱中できるものを見つけてもらうためには、選択肢をたくさん見せることですか?」

確かに子どもに知らない世界を教えたり、いろんな体験をさせてみることはいいことだと思います。しかし、私の答えはもっとシンプルです。子ども本来の好奇心を奪わないようにすればいいのです。

本来、子どもはそもそも好奇心の塊で、その好奇心に突き動かされて、勝手にいろいろなことにチャレンジしながら成長します。それなのに、小学校に入って、一律に座りなさいと言われるあたりから、その子の独自性が徐々に奪われていきます。

例えば下校途中にある大きな水たまりを、崖の両岸に見立てて、「この崖を跳び越えるぞ!」と目をキラキラさせた子どもを見かけませんか。些細な遊びに見えますが、目の前のものを別のものに見立てて状況設定をし、ストーリーの主人公になりきるという思考活動だけでも創造力が鍛えられています。一見跳べそうにない距離を頑張って跳ぼうとする一連の行為は、挑戦意欲や試行錯誤の力、身体能力などを鍛えます。

もし子どもの自律と好奇心を優先したいのであれば、そういう体験を、

「洋服が泥だらけになるからやめなさい」

「意味のないことをやっていないで宿題をやりなさい」

といった大人の尺度でストップをかけていくことは慎んだほうがいいと思います。

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