教育熱心な親が「人のせいにする子」を作るワケ 「宿題廃止」の中学校校長が明かす真理

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麹町中学校の最上位の目標は、「自律した子ども」を育てること。それは、言い換えれば「人のせいにしない子ども」です。そのうえで「人間はみんな違うし、対立が起きるのは当たり前である」「違いを乗り越えるためにどうしたらいいか」を教えていきたいと思っています。「世の中まんざらでもない。結構大人ってすてきだ!」。生徒たちにそう思ってもらうことが目標なのです。

子ども同士のいざこざを仲裁していませんか?

では、子どもの自律を育むために、周囲の大人がいちばん意識しなければいけないことは、何でしょうか。

それは、ひたすら「待つ」ことです。

ひたすら「待つ」。これがいかに難しいかはよくわかります。とくにたくさん手をかける子育てをしてきた人が、それと真逆の育て方をするのは相当勇気がいることです。でも、焦って子どもを無理やり引っ張りあげようとした瞬間から、子どもの自律のチャンスを奪っていくことになります。

わかりやすいシーンとして、子どもが遊ぶ、公園の砂場を考えてみましょう。

砂場の近くではお母さんたちが子どもたちの遊ぶ姿を見守っています。そこで、ある子が別の子からシャベルを奪って返してくれないとしましょう。奪われた子は「返してくれない!」と泣き出しました。

すると何が起きるでしょうか。

シャベルを奪った子の親がものすごい剣幕で飛んできて、自分の子からシャベルを取り上げます。そして、泣いている子とその親に丁重に謝罪をし、「〇〇ちゃんも謝りなさい!」と自分の子をきつく叱るでしょう。

こうしたやり取りは日本では当たり前の光景です。むしろ、こうしたシーンで親が口を出さないほうが周囲から非常識だと思われるくらいです。これは、子どもの自律よりも「仲良し主義」が優先される社会の証左なのです。

もちろん、善悪の教育も大事なので、ここで完全に放任するのは難しいかもしれません。ただ、大人が介入するタイミングをもう少し遅らせたら、どんなことが起きると思いますか。 

もしかしたらシャベルを奪った子は泣き出した子を見て、しばし逡巡したあと、自分の判断でシャベルを返したかもしれません。すぐに返さなかった場合でも、後日、砂場に行ったときに「○○ちゃんはシャベルを返してくれないから嫌だ」といって誰も貸してくれず、自分の行いを反省するかもしれません。いずれの場面でも、子どもは実体験から社会を学んでいくわけです。

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