「口先だけの若者」になぜメンターがいないのか 「居心地悪い」学びこそサードドアにつながる

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多くの人にとって、失敗は怖いことでしょうが、それは「人」に向かっているから。「事」に向かえば怖くないと私は思っています。「人」に向かうと、褒められたいとか、承認されたいとか、自分をよく見せたいという願望が強くなってしまう。でも「事」に向かっているときは、自分がどう見られているかなんて忘れてしまいますよね。土下座をすることも厭わなかったりします。

森岡康一(もりおか こういち)/Supershipホールディングス株式会社代表取締役社長CEO。インテリジェンスを経て、Yahooでリクルートとのジョイントスタートアップである株式会社インディバルの設立に参画。2010年からはFacebook Japanの副代表として日本市場での成長を進める。2013年KDDI入社、2015年11月にKDDIのオープン領域における事業拡大推進の中核を担うため誕生したSupership株式会社の代表取締役社長に就任。2018年10月より現職(写真:Supership)

人間、ムダな見栄やプライドがあると、頭を下げてまでこんなことしなくていいと思ってしまうんです。でも、僕に言わせれば、目の前にやるべきことがあるのに、頭を下げられないから達成できないなんてバカバカしい。

それから、「いい人だ、やさしい人だね」と人となりを褒められて満足してはいけません。喜ぶべきは、自分のやった成果を褒められたときであって、なにも成し遂げていないのに褒められたって、承認欲求を満たされるだけで、成長にはつながりません。

なにかを成そうとしているときの過程なんて、周りは認めてくれません。Supershipも、短期間で大きな売り上げやインパクトを残している会社だとようやく自負できるようになりましたが、旗揚げ時は、周囲から「大企業の子会社でしょ」という目で見られることもありました。でも、僕には明確に達成したい目標があり、「事」に向かっていましたから、大企業と組むのは自然な流れでした。

「大先輩」の力を借りよ

僕は、大企業は「大先輩」と呼ぶべきだと思っています。スタートアップが独力で成長していくエコシステムのようなものは、日本では、まだアメリカのようには発展していない。ならば、企業として経験を積んでいる大先輩の力を借りればいいんじゃないでしょうか。僕はそれを、ハイブリッド・スタートアップと呼んでいます。大先輩の中には、優秀な人材がたくさんいますから、そういう人たちと組んで仕事をすればいい。

例えば、「大企業の力を借りるのはスタートアップとしてどうなのか」と言われたとしても、実際にやるべきことをやって、利益を出していれば、それが本当にやりたいことへの近道になるわけです。そして、影響を及ぼす範囲がある一点を越えると、世間の見方がガラッと変わるときが来るんです。

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