PC大手のASUSがスマホをあきらめないわけ 高技術品を投入、赤字のスマホ撤退説を一蹴

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――日本市場をどのように見ていますか。

日本のユーザーは品質を重視して商品を選んでくれる。ゆえに私たちも自社のもつ技術でいかにすばらしい製品を日本で展開できるかを考え続けている。

日本にはまずマザーボードの販売で進出し、2006年からノートパソコンも本格展開している。現在ではGoogleと共同開発したタブレット「Nexus7」やノートPCの「Zenbook」が好評だ。スマートフォンの「Zenfone」シリーズも人気で、SIMフリースマホ市場では2位となっている。

日本のユーザーは一流の顧客で、日本で受け入れられたかどうかで、ASUSにとってよい製品を出せたかどうかを知ることができる。ゆえにASUSは日本の優先度を非常に高く設定して、日本向け仕様も用意してきた。それだけ日本を重視している。

孫子の兵法にならい、ハイスペックな製品を追求

――日本では「低価格パソコンメーカー」のイメージが強いですが、最近は高価格なハイスペック品が増えています。

もともとASUSはいいものをさらによくしていくことを目指している。実際に数多くの世界初製品を生み出してきたし、多くのユーザーからはイノベーションがないASUSはASUSではないと言われてきた。

施崇棠(ジョニー・シー)/1952年台湾彰化県生まれ。国立台湾大学電気工学科、国立交通大学経営管理大学院卒業。27歳でAcerに入社し、Acer副総経理などを経て、1994年にASUS会長兼CEOに就任、2008年よりASUS会長(撮影:今井康一)

現在はとくにゲーマーやデザイナーなど、パワーユーザー向け製品に注力している。彼らの求める技術水準はとても高く、それらの要求に対応していくのは難しい。ただ、ひたすらいい物を作ろうと努力を続ければ必ず活路を見出すことができると考え、あえて難しいものに挑戦している。

――ファーウェイやオッポなど中国のスマホメーカーも台頭しています。競争環境は厳しいのではないですか?

ハイスペックな製品を追求していくことが競争においても重要となる。背景にあるのは孫子の兵法の考え方だ。孫子は、相手を見極めて自分たちが強みをもつところでベストを尽くせば自ずと有利な状況を引き出せるという。

オッポやヴィーヴォはここ数年、急伸してきた。そしてファーウェイはいまでは巨大なスマホメーカーだろう。ASUSが彼らとの競争を勝ち抜くには、技術力もさることながらゲームに特化した機能やデザイナーが必要としている機能など、ハイエンド層の需要に応えられるよう極めなければならない。専門性や技術力が足りなければ、他メーカーとの差がなくなり、価格競争するために単価を落とさなければいけなくなる。

だから、パワーユーザーや性能にこだわるコア層をターゲットにした専門性や技術を追求した製品で勝負する。性能も高くない簡単なものは誰にでも作れるが、将来の成長を考えると、挑戦的な難しい道を目指す方向性が正しいと信じている。

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