ドンキ、営業経験がない「異色社長」誕生のわけ コンサル出身者が国内外での拡大戦略の要に
「2015年に勇退した安田隆夫・創業会長の背中を追い、私も国内グループ会社の役職をすべて返上し、退路を断ってアメリカ事業に専念する」
8月中旬に開かれた、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの2019年6月期決算説明会。その壇上、同社の大原孝治社長兼CEOはこう宣言し、9月の株主総会後に社長の座を退くことを明らかにした。大原氏は社長退任後、創業会長特任顧問兼特別理事およびアメリカ事業を担うグループ会社の社長に就任する。
ユニー買収をまとめ上げた人物
大原社長の後任で、同社の4代目社長となるのが、現・代表取締役専務の吉田直樹氏だ。吉田氏はマッキンゼー・アンド・カンパニーを経てコンサルティング会社を立ち上げた後、以前から親交のあった安田創業会長の強いオファーを受けて、2007年にアメリカ事業を展開するドンキのグループ子会社社長に就任した。
近年は大原社長の「右腕」として、ガバナンスやコンプライアンス関連の業務をこなす一方、M&Aを推進。今年1月に完全子会社化したGMS(総合スーパー)・ユニーの買収を、先頭に立ってまとめ上げた実績を持つ。
それだけに「安田創業会長の信任は非常に厚い」(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス幹部)という。吉田氏を知る社外関係者の間でも、「人当たりが柔らかく、調整役に適している」との評判だ。
「吉田は、私にはない素晴らしい知見と資質を身につけており、彼なら安心してバトンを託すことができる。当社にとって安田が父親ならば、私はその長男。そして、吉田は非常にできのよい次男だ」。大原社長は後任の吉田氏について、こう太鼓判を押した。
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