蓮田と佐野、夏に注目集めた「東北道SA」の明暗 リニューアルオープンの一方、突然の休業

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筆者が出演した情報番組でも休業2日目の15日に基本的な情報を伝え、翌16日は、佐野SAへ中継クルーを送り、リアルタイムで営業の様子なども伝えながら、閉鎖の背景などについてスタジオで詳細な説明を行った。

放送当日は、会社側が別の社員などを動員して、売店とレストランの一部のメニューの提供を行ったことで、利用者にとっては最低限のサービスは受けられることとなった。だが、問題の根底に横たわる運営会社の経営の問題は全く解決しておらず、8月30日にNEXCO東日本によりレストランの再開とショッピングコーナーとフードコートの24時間営業の再開が発表されたが、労使の対立は続いており、今後も安定的に運営できるかどうかはまったく見通せない状況である。

関心を集めたSA運営の仕組み

こうした事態はきわめてレアケースで、そうそうどこでも起こりうるということにはならない。とはいえ、あらためて高速道路の休憩施設がどんな形態でどんな会社に運営を委ねているかという、利用者が普段あまり考えないサービスエリアの運営の仕組みをある程度明らかにして世間の関心を集めたという意味では、今後に向けて考える材料を提供する「事件」であったといえそうだ。

休憩施設の運営会社は、NEXCO各社の関連会社が受け持っているケースもあるし、地元のレストランやレジャー施設の運営会社が担うこともある。全国で10店舗以上の高速道路の休憩施設を手がける大手の会社もある。また、同じ休憩施設でも上下では運営会社が異なるケースが非常に多いことも、今回のトラブルで多くの人に共有された情報の1つであろう。

佐野SAで食事や買い物ができなかった利用者のうち少なくない人たちが、その先のSAである、7月末にリニューアルオープンしたばかりの蓮田SAで食事や買い物をしたであろうことを考えると、蓮田SAのリニューアルオープンが佐野SAの営業ストップの前でよかったという皮肉なつながりも感じられる。

今年のお盆前後の休日は、曜日の並びで長く休める人は9連休になって分散が進んだこともあってか、台風10号の西日本への直撃はあったものの、全国的に渋滞の長さが驚くほど長くなったということはなかった。その代わりに東北道の隣接する2つのサービスエリアがマスメディアをにぎわすという、一風変わった令和元年の夏の高速道路の風景となった。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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