実は怖い初秋の「紫外線」が頭皮をダメにする 肌だけケアしていればセーフではない

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しかし、体の中で最も紫外線を浴びやすいのは、実は髪と頭皮です。髪の分け目の頭皮が見えている部分は、顔の2倍の紫外線を浴びているとの調査データもあります。髪の分け目の頭皮への紫外線ダメージを少なくするという意味では、分け目を頻繁に変えることをおすすめします。

先のAさんにもそれを伝えると、「頭は髪の毛があるから、大丈夫だと思っていました」とおっしゃっていました。そう思っている人はきっと多いことでしょう。

髪の「夏バテ」「秋バテ」防ぐには

街中で、顔全体を覆い隠す溶接工のようなサンバイザーをかぶり、腕にはアームカバーをされた女性によく遭遇するのも、その表れの1つだと思います。顔や腕はあれだけしっかりガードしているのに、“顔隠して、頭隠さず”の状態になってしまっているのがもどかしく、つい「アタマを忘れていますよ!」と声をかけたくなってしまいます。

紫外線によるダメージは、頭皮の日焼けや乾燥だけでなく、枝毛や切れ毛、パサつき、脱色など、毛髪のトラブルも起こします。Aさんも頭皮の乾燥だけでなく、髪のパサつきも進んでいました。「そのままにしていると、乾燥で浮いた頭皮がフケのようにパラパラと落ちてきてしまうので、頭皮専用の保湿剤を処方しておきますね」と伝えると、Aさんはホッとした様子でした。

そして、ゴルフのときはサンバイザーではなく、通気性のいいUVケアの帽子をかぶること、日焼け止めは顔や体だけでなく、頭皮や髪用のものもあるので、それもぜひ使ってほしいこと、しばらくの間はパーマやカラーリングは控えたほうがいいことなどをアドバイスしたところ、「わかりました! 9月の連休にもバリでゴルフをする予定なので、ちゃんと帽子をかぶります」とのこと。

少し涼しくなったといっても、9、10月の紫外線量は初夏と同じくらいあるので、しっかりケアをしたいものです。

近年の夏は命に関わるほどの暑さで、体力も奪われがちです。今の時期は夏の疲れが出ないよう、体調にも注意が必要です。免疫力が落ちると、抜け毛が増えたり、健康な髪が生えにくくなったりします。

大きな病気をしたり、精神的にショックな出来事が起きたりしたときに、白髪が増えた、髪がごそっと抜けてしまった……といった話を聞いたことはないでしょうか。人間の体は危機的な状況になると、命にかかわるところから免疫機能が働くので、それ以外の髪や肌、爪といった部分が犠牲になってしまうのです。

皆さんも夏バテや秋バテをしないよう、バランスのよい食事や睡眠をしっかり取るように心がけていただきたいと思います。秋のレジャーを楽しむときも、紫外線対策はお忘れなく。

浜中 聡子 Dクリニック東京 ウィメンズ院長

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はまなか さとこ / Satoko Hamanaka

医学博士。北里大学大学院医学部卒業。女性のためには「前向きに年齢を重ねていくこと」の重要性を感じ、日本抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会(WOSAAM)専門医、米国抗加齢医学会(A4M)専門医、米国先端医療学会(ACAM)などの資格を多数取得。精神と身体の両面からケアすることを得意としながら、「ウェルエイジング」を提唱し臨床現場に立っている。著書に『美人増髪計画』『アフター更年期からの不調を治す50の習慣』など。

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