人はなぜ年金に関して間違えた信念を持つのか もうすぐ始まる年金報道合戦に要注意!
なんだかもう、笑いが出るほどに間違えている完全なる誤報である。
だいたいもって、この記事が出る前日の厚労省の会議「第10回 年金財政における経済前提に関する専門委員会」では、次の表しか示されておらず、先ほど見た「(注)名目運用利回りは実質値に賃金上昇率と物価上昇率を加えたもの」は示されていなかった。その理由は、名目運用利回りは、公的年金の積立金運用にはまったく関係がないからである。
だから、厚生労働大臣から公的年金の運用に携わるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に課される中期目標は、文面をそのまま引用すれば、「実質的な運用利回り(運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)」、つまりスプレッドでしか示されていないのである。
批判のために「ないもの」を作る
そうであるのに、この日経新聞の記事では、厚労省資料にある物価上昇率と実質(対物価)をわざわざ足し合わせた「名目運用利回り」を計算して、「前提が甘い!」と、いわゆる定番の誤った信念を披露している。
インタビューをして、「専門家からは実現を疑問視する声が出ている。甘い想定に基づく点検は年金給付の過度な運用依存を招き、そのツケは将来世代に回りかねない」とも書いているが、先ほどの年金大好き度テストにある「スプレッド」の意味も理解していない人たちのことを、普通、専門家とは呼ばない。ところが、長年、そうした者たちが、年金の専門家であると自称してきた。
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