ELTいっくんが「仕事で平均を目指す」深いワケ だから髪を切り、ヘビーメタルとお別れした
僕が「平均」こそベストと思う理由
ハタチになり、ヘビーメタルからポップスに畑を移して髪を切ったころ、街で配っているあのポケットティッシュを渡された。「普通に渡してもらえるものなんだ!」と驚いた。それまで、「見た目」でいかに避けられていたかがわかった。
考えてみたら無理もない。メタルミュージシャンは皆、派手な長髪に黒ずくめの格好をしていて、その文化の外にいる人からしたら意味もわからず、怖い。本人たちがまた、そういう「人と違う自分」を大事にしている。なにしろ、海に行って日焼けしただけで「チャラチャラしてんじゃねえ」と言われてしまう社会。健康さとか、ポピュラーさとか、娯楽といった「普通のこと」は、この社会では軽蔑されてしまうのだ。
だいたい、ロックをやる人は極端に走る傾向が強い。生活のすべてが「音楽のため」になりがちなのだ。服選びも「ロックやってます風」に見えるようにするし、恋愛でさえ「ロックミュージシャンの彼女風の女性」を求めるようになる。すると、世界はとても狭くなる。自分の世界には、自分好みのものと、その好みを共有できる人だけしかいない場所になる。それは幸せなことかもしれないが、「仕事」を視野に入れると、デメリットも大きい。
音楽を商売にするなら、顧客がいないと何も始まらない。だとしたら、いちばん顧客を多くとることのできる「平均」がベストだ。クセがなくて、とくに音楽好きでない人もなんとなく聞く、みたいな音楽が最も幅広く顧客を得られる。
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