アマゾンの「コンビニ」はここまで徹底している リアル店舗の進化が映す本質的な意味
また、アマゾンブックスならではのものに、書籍の陳列方法があります。よく知られているのは、表紙が見えるようすべての本が面展開されていること。顧客にとっては、見やすく、選びやすく、買いやすいというメリットがあります。しかし店舗側にすると、店舗の面積や店頭在庫の制約から、やりたくてもできません。アマゾンブックスも一昔前のアメリカの大型書店と比較するとそこまで大きな店舗ではないのです。
にもかかわらず、アマゾンブックスが面展開できるのは、まさに「ビッグデータ×AI」の力によります。アマゾンブックスを訪れて驚いたのは「シアトルで読まれている本」「アマゾンでレビューが1万件以上ついている本」「キンドルでアンダーラインが最も引かれている本」などのコーナーがあったことです。
アマゾンが掲げる「Day1」とは?
「ビッグデータ×AI」によって、その店舗でどんな本を面展開すれば売れるのか、解析する技術がアマゾンにはあります。逆に言えば、それ以外の本は在庫に置かなくて済むというわけです。さらにはもし仮に、顧客が探している本が店頭になかったとしても、スマホを使ってその場でアマゾンに注文すればいい。筆者は、アマゾンブックスの「書店としてのすごさ」以上に、これは、アマゾンが本格的にさまざまな分野においてリアル店舗展開する序章にすぎないのではないだろうかと脅威を感じました。
アマゾンは、確かに、世界のトップ企業に成長を遂げています。しかし、その中身はいまだにスタートアップ企業的です。そのことを強く示すのは、ベゾスが繰り返し口にする「Day1」という言葉です。
「Day1」とは「創業日」や「初日」という意味で、ベゾスのオフィスがある建物はすべて「Day1」という名前がつけられているほか、アマゾンの公式ブログのメインタイトルも「The Amazon Blog: Day One」となっています。ベゾスがどれほど「Day1」にこだわりを持っているのかがうかがえます。
ベゾスは「今日がアマゾンにとってDay1だ」と言い続け、「Day2」すなわち大企業病に陥ることなくスタートアップ企業であることを強く意識しています。これは、スタートアップ企業的なDNAが消えてしまえば、継続的に破壊的イノベーションを起こすことはできないという強い危機感があるからにほかならないのです。
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