世界経済は完全に「景気後退」入りしている

あらゆる循環指標が示唆

アメリカ国債は2カ月以上、「逆イールド」状態にあり、景気後退の可能性が2007年4月以来最も高いことがうかがえる。国債の利回りと無リスク金利の急落が1年前から続いているにもかかわらず、主な株価指数は当時に比べて横ばいもしくは下がっている。

ドイツの総合化学のBASFや、アメリカの重機大手キャタピラーなど、景気循環の代表格は1年で自社のシェアが激減するのを見てきた。

イランとベネズエラに対するアメリカの厳しい原油制裁にもかかわらず、石油価格は4月末から22%落ち込んだ。2018年8月に比べると20%減だ。サウジアラビアやそのOPECプラス会合の同盟国による生産制限延長や、アメリカにおける新たな採掘の低迷の兆候にもかかわらず、ブレントの6カ月のカレンダースプレッドは壊滅している。石油以外のコモディティーの物価も、2018年半ばから下落もしくは横ばい状態にある。

貿易上の「失策」が不景気を加速させた

ベン・バーナンキ元アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)議長は、景気拡大は「年を取って死ぬ」のではなく「殺されるの」だと皮肉を言っている。多くの場合は、政策の過ちによって起こるとしている。

ここ数十年、ほとんどの景気後退は財政政策、金融政策、金融監督の組み合わせにおける過ちによって引き起こされてきた。だが、今回の場合、問題は貿易政策から生じた。突如、保護貿易主義的になり、世界的なサプライチェーンを作り変えようと試みが生まれたのだ。

結果としてアメリカと中国間に経済戦争が勃発し、景気の不安定さが増した。さらに両国での投資計画は中断し、ヨーロッパとアジア全体にも副次的に影響が及んだ。世界中の政治家たちが経済成長を当然のものとして見て、過剰な関税やダンビング防止関税、制裁、投資制限を重ねてきた。そして最終的に景気拡大を危機的状況に追いやったのだ。

もし世界的な景気後退が確定するのであれば、それは政治家たちがほかのことに気を取られて、経済に安定して先の読める情勢を与える必要があるのを忘れていたことが原因だろう。景気後退は痛みを伴う警告であり、いやでも政治家たちの意識を経済に戻してくれるだろう。

著者のジョン・ケンプ氏はロイターのエネルギー、商品アナリスト。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。
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