日経平均は上下どちらかに大きく動きそうだ 「売り」と「買い」の両方のシグナルが点灯
株価と金利との関係に微妙な変化が起こっている。それは、8月7日(木)のアメリカ株にあらわれた。
米10年債利回りの低下に神経質になる市場
まず、この日はニュージーランド、タイ、インドの各中央銀行が政策金利を引き下げたことで各国の金利が低下、アメリカの10年債利回りも一時1.6%を割れた。しかしその後、10年債利回りが1.7%台まで急速に戻すと、逆にNYダウは下げ幅を大きく縮小、ナスダックはプラスで引けた。米中対立の再認識が原因ではあったが、株式の買い材料となっていた金利低下がこの日は一時悪材料となり、市場の混乱が極まった感じだった。
FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長の言う「予防的利下げ」は、景気にプラスということで株にもプラスと評価されたが、限度を超えた金利低下は「不況」を連想させ、「景気後退不安」が、市場支配力を増す。特に10年債利回り1.6%前後のレベルは、逆に株安要因と評価された。
迷走は続く。8日(金)朝方の10年債利回りは1.76%まで戻っていたものの、ダウも150ドル高に過ぎなかった。しかしこの後、1.7%まで下がる過程でダウは大幅高となって行き、結局この日の引けは371ドル高で、金利低下=株高のいつもの関係に戻っていた。
この7・8日2日間の10年債利回りとダウの関係でわかるように、市場は1.7%前後までは「金利低下=株高」で、1.6%前後になると不況・景気後退を連想させ「金利低下=株安」となっているようだ。今後こうした「金利の分岐点」は若干変化するかもしれないが、株価と金利の関係は、非常に重要な局面に差し掛かっていることは間違いない。事実、8月に入って10年債利回りは0.3%低下したにもかかわらず、ダウは約800ドル下げている。
ここで改めて、株価と金利の現在の微妙な関係を、相場循環で考えてみよう。相場が天井圏の時は「金利上昇・株価上昇・景気好調」の状態だが、株価・景気が過熱しないように当局(FRB)は通常、適度に金利を上げ量的引き締めをする。
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