米国の「バイオ・ゲノム企業」のすさまじい進化 最先端を目指し、しのぎを削る企業を紹介

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サレプタ・セラピューティクス(SRPT)はデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬「エテプリルセン(EXONDYS51)」をアメリカで発売している。2018年12月には、同じくデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療の新薬「Golodirsen」の承認申請を提出した。デュシェンヌ型筋ジストロフィーの遺伝子治療分野では2018年1月に上場したばかりのソリッド・バイオサイエンシズ(SLDB)も注目だ。

リジェネックスバイオ(RGNX)は、網膜、ムコ多糖症、高コレステロール血症等の疾患に対する遺伝子治療薬の開発を行うほか、遺伝子治療に用いられるウイルスベクターの開発も進めている。これらウイルスベクターに関しては100以上の特許・独占的権利を保有しており、他社へのライセンス供与も行っている。

遺伝子治療薬の研究開発には、遺伝子などの解析のための機器やアプリケーションが必要だが、こうしたソリューションを提供している企業がイルミナ(ILMN)だ。DNAの塩基配列解読装置や関連キットなどを開発・製造し、大学の研究機関や医薬品企業の研究所などに販売している。なお2018年11月に同業のパシフィック・バイオサイエンス(PACB)買収を発表した。

将来の有望分野は遺伝子治療

ここまでいくつか紹介してきた遺伝子治療薬の開発企業は、業容の特性上、売上高がほとんどなく、開発費負担が先行するため赤字が続いている。それでも新薬として承認され、広く認知・活用されるようになれば巨額の収入が期待できるため、各社が研究開発にしのぎを削っている。大企業も将来の有望分野として遺伝子治療に注目しており、共同研究を行ったり、買収して技術や人材を取り込んだりと余念がない。

ネットメディア「米国IPO週報」によると、2019年1月から7月までのIPOは97社あり、このうち医薬品関連が39社と全体の4割を占めている。欧州企業のほか、最近では中国企業の台頭もめざましく、一段と競争は激化してきている。絶えず変化を繰り返す、振幅の大きな業界だけに、今後も目が離せない。

加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

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かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

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