米国の「バイオ・ゲノム企業」のすさまじい進化

最先端を目指し、しのぎを削る企業を紹介

2つ目がイーライ・リリー(LLY)によるロクソ・オンコロジーの買収だ。イーライ・リリーは1876年創業の老舗で、1923年にインスリンを実用化したことで知られている。現在は糖尿病、がん治療、バイオ医薬品にフォーカスしており、糖尿病薬の「トルリシティ」や「ヒューマログ」、抗がん剤「アリムタ」が収益を支えている。ゲノム定義されたがん患者向け治療薬に特化したロクソ・オンコロジーを買収することで、がん治療薬の領域拡大を図る狙い。すでに買収は完了し、ロクソは今年2月に上場廃止となっている。

そして3つ目は、つい先日6月26日に前掲アッヴィが同業大手でアイルランドに本社を置くアラガン(AGN)を買収すると発表した。アラガンは皮膚科や美容医療、泌尿器科などの分野に強く、主力商品としてしわ改善薬「ボトックス」等を持っている。2020年初めごろに合併手続きが完了する見込みだ。

最先端いく遺伝子治療

今年3月、日本で初めて遺伝子治療が承認された。大阪大学発の医療ベンチャー、アンジェスが開発した足の血管再生治療薬「コラテジェン」で、7月末時点で販売に向け準備中とのことだ。

一方、遺伝子治療先進国のアメリカはどうか。FDAがこの1月に発表したステートメントでは、現時点で800以上の細胞・遺伝子治療に関する臨床試験が行われており、さらに2020年までに年200件の新たな臨床試験がスタートし、2025年までに年間10~20件を承認するとの見通しが示されている。

バイオマリン・ファーマシューティカルズ(BMRN)は難病治療薬に特化したバイオ医薬企業で、ムコ多糖症治療薬「ビミジム」「ナグラザイム」、フェニルケトン尿症治療薬「KUVAN」が3本柱となっている。同社の遺伝子治療研究は血友病Aに対する治療薬で、この7月、2019年の第4四半期にアメリカと欧州で販売申請書を提出する予定と発表された。

血友病の遺伝子治療薬の開発ではスパーク・セラピューティクス(ONCE)も注目だ。血友病Aでは第3フェーズ臨床試験が進行中なうえ、もう1つのタイプである血友病Bでもファイザーとの共同研究が臨床試験の第3フェーズにある。2013年創業の同社は、血友病のほか、失明や神経変成疾患などの遺伝性疾患の治療薬の開発も手がけており、遺伝性の網膜疾患治療薬「ラクスターナ」が遺伝子治療薬としてすでに市販されている。なお、2019年2月にスイスの大手ロシュが同社の買収を発表しており、9月完了の予定だ。

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