就活生データを商品化、「リクナビ問題」の本質 「AI選考」「録画面接」流行に学生は警戒感

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もう1つは、就活が高度な情報戦になっているということだ。適性検査の結果を筆頭に、エントリーシートの文字情報や面接の受け答えなど、あらゆる就活プロセスがデータ化され、評価ツールとして使われている。さらにはAIを使って「客観的に評価」できる環境が整ってきた。

最近、動画面接や自己PR動画、Web面接などを導入する企業が増えているが、そうした画像データを使ってさまざまな分析が可能になっている。情報があればあるだけ精度の高い結果を得ることができ、適正な採用の合否判定もできると考えられている。求める情報の範囲がエントリーや閲覧履歴にまで及んでしまうのは、自然の流れだったのかもしれない。

就活生の過半数はAI判定を「よいと思わない」

しかし、AIなどが判断する就活について、就活生のアレルギーは強い。

2018年のディスコ(キャリタス就活)の調査だが、AIが書類選考の合否を判定することに、就活生の50.2%が「よいと思わない」「まったくよいと思わない」と回答。「よいと思う」「とてもよいと思う」の29.6%を大きく上回った。

さらに同社は、今年7月に「録画面接」「自己PR動画」が採用選考に使われることへの考え方も就活生に聞いているが、6割以上が「反対」(利用したくない)、「どちらかといえば反対」と答えている。

HRテック(人材×テクノロジー)が進化し、就活や採用の手法についても過剰ともいえるほど情報化が進んでいる。社会人より知見や知識が少ない学生の多くが、そうした大人たちが進めていく技術についていけず、警戒感や不信感を抱く結果につながっているかもしれない。

HRテックやAIなどで、就活や採用をより便利に、より効率的にできる部分もあるが、就職情報会社を筆頭に、各企業は「学生目線での採用・就活」を考えていく必要があるだろう。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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