わかりやすく明示したとしても不信感はぬぐえない。なぜなら、この文言なら、理論的にはライバル企業にエントリーをしている状況や、どれだけ熱心に閲覧しているかといった就活生の行動まで把握される恐れがあるからだ。「選考に利用されることはありません」と明記していも、本当に利用しないという確証は得られない。
就活生にとっては現在、リクナビなどの就職ナビを使わなければ、エントリーなどの就職活動が行えないという現実がある。
就活生にとってのナビサイトの役割は、企業の採用情報の収集だけでなく、会社説明会の予約や企業へエントリーするために使われている。就職活動を進めるうえでは、このナビサイトへの登録は不可欠で、今回問題となったリクナビと、マイナビ社が運営するマイナビ経由でエントリーを受け付ける企業がほとんどだ。
就活生の約9割がリクナビとマイナビに登録しており、もはや「就活の必須ツール・インフラ」と言える。
内定辞退予測サービスが生まれた背景は
会社側に閲覧履歴が伝わる可能性があるとわかれば、利用をためらう就活生も出てくるだろう。あるいは、就活サイトの利用方法までもが企業に見られている前提で、「お行儀よく」閲覧するようになることもありうる。
リクナビは、8月5日のリリースで、「学生の皆さまの心情やご状況を十分に踏まえたサービス設計・経営判断ができていなかったという強い反省のもと、今後、リクナビなど新卒学生向けサービスの在り方を、抜本的に変えていく」と明言している。そうであるならば、今後はプライバシーポリシーの見直しや、個人情報データの用途の明確化や制限などをすぐに検討するべきだろう。
ただ、「内定辞退予測」というサービスが生まれた背景についても考える必要がある。
企業の採用活動においては、歩留まりを考えて内定が乱発されることによって、内定辞退することが常態化している。そんな中で、採用者を決める段階で「わが社に来てくれるかどうかの確率」を知ることができれば、かなり貴重な情報だといえる。
ある人材サービス系企業の人事担当者は「内定者や選考中の学生のフォローのために、学生のマインドがわかるツールを使いたい気持ちはよくわかる」と答えた。ほかの人材業界の関係者も「手法は違っていても内定辞退予測などは当たり前のように行っている」と語る。実際、エントリーシートのデータなどを使って、内定辞退を予測するツールは存在する。
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