「地頭がいい人」とそうでもない人の決定的な差 知識の世界で重要な「答え」よりも意味を持つ

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なお、この図においては「3つの知的能力」が単なる羅列ではなく、「3つの座標軸」という形で定義されているが、そこにも理由があるようだ。それは「地頭と知識力」および「地頭と対人感性力」に直接的な相関関係がない(ベクトルが直行している)ことを意味しているから。

つまりは3つの能力のうちの1つに秀でることは、他の能力と関係がないということだ。

WHY:知識力には限界があるが地頭力には限界がない

次に細谷氏は、地頭力に軸足を置く形で、これら3つの能力を比較している、そうすることにより、地頭力が求められる理由を明確にしていくためである。まず焦点が当てられているのは、地頭力と知識力との違いだ。

(出所)『入門 『地頭力を鍛える』 32のキーワードで学ぶ思考法』(東洋経済新報社)

知識とは過去に起こったことの集大成であるので、そこには正解が存在する。よってすぐに記憶を呼び戻すことができるが、そこには限界もある。簡単な話で、知識力は有限だからだ。

言ってみれば知識の世界で重要なのは「答え」。専門家が強みを発揮できるのがこちらの領域だということになる。

対する地頭力の世界は、細谷氏の言葉を借りるなら「未来志向」。正解やプロセスが1つに収まり切ることはなく、つまりは無限の可能性を秘めているということだ。

ここで注目すべきは、答えよりも問いが大きな意味を持つ問題発見の段階では、「自ら考える力」が重要だということ。だからこそ、時に「素人」のほうが力を発揮する場合も十分にありうるわけである。

言うまでもなく、日本社会においてこれまで教育やビジネスの現場で求められてきた価値観は「知識型」。そのため、ビジネス環境を思考力重視へと変化させるに当たっては、これが大きな阻害要因となってきたと考えられる。

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