
野田内閣時に「ぶら下がり」がなくなった
──首相への取材機会が少ない。
旧首相官邸は記者が執務室の前まで行け、面会者もわかったし、移動中の首相をつかまえて話も聞けた。新官邸では警備上の理由からそれができず、当時の小泉純一郎首相は1日2回のいわゆるぶら下がり取材に応じました。テレビを入れ、国民に語りかけるという印象を作ったが、後任には荷が重かった。
──ぶら下がりが必要と言うのは鳩山由紀夫さんくらいですね。
彼はサービス精神が旺盛で、同じ質問に同じ言い回しで答えると記者に悪いと思って、言い回しを変えたら「発言がぶれる」と命取りになった。「ぶら下がりは危ない」と認識され、縮小へ。東日本大震災への対応を理由に中断していたぶら下がりを正式にやめたのが野田佳彦内閣。
私は当時朝日新聞の官房長官番で、首相の説明機会が失われていいのかといった議論をしたが、押し切られた。「あんなことしているのは日本だけ」と官邸に助言したのが、すでに有力政治家とパイプを持つ歴代政治部記者。知る権利の縮小を手助けしたのです。
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