勝者はれいわとN国?笑顔なき「参院選通信簿」 ポスト安倍レースは岸田氏失速、菅氏浮上
「令和初の政治決戦」と銘打った第25回参院選が終わった。
安倍晋三首相は「築き上げた安定した政治基盤が、国民から力強い信任をいただいた」と胸を張った。国政選挙6連勝で安倍1強体制はなお続く。しかし、戦後2番目の低投票率が象徴するように、国民の政治離れも一段と深刻化した。
勝ったはずの自民党を含め、選挙結果に対する与野党党首の反応に心底からの笑顔は見られず、「どこにも風が吹かない、勝者なき凡戦」(自民長老)ぶりが際立った。
激戦区で競り負け、「もっと勝てたはず」の声
7月22日に自民党本部で記者会見した安倍首相(自民党総裁)は、選挙戦の争点に据えた憲法改正について「少なくとも議論すべきだという国民の審判は下った」と語った。自民57議席、公明14議席で与党は71議席を獲得。前回2016年の実績(70議席)や与党幹部が勝敗ラインとした改選過半数(63議席)を大きく上回り、政治的には勝利であることは間違いない。
しかし、首相の表情に会心の笑みはなかった。今回改選となる自民党議席(66議席)を9議席も下回り、選挙前に維持していた「改憲勢力3分の2」を失ったからだ。
比例代表での得票も前回よりかなり減少し、野党統一候補との対決となった32の1人区でも野党に前回(11議席)並みの善戦を許した。首相や菅義偉官房長官が複数回応援に出向いた激戦区の多くでも競り負け、自民党内からは「もっと勝てたはずなのに」(選対幹部)との声も広がる。
公明党は14議席を獲得して非改選と合わせた28議席は結党以来、最多の議席数となった。ただ、比例の得票数は653万余と2016年参院選から約104万票も減らし、1999年の自公連立政権発足以降、最低となった。「投票率低下に救われた結果」(公明選対)というのが実態で、山口那津男代表も渋い表情だ。
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