投影しない「プラネタリウム」は何がすごいのか コニカミノルタがドーム型ディスプレイ販売

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コスト面を考慮すると、LEDへの更新は容易ではない。そこでコニカミノルタはプラネタリウム以外での用途拡大を目指す。テーマパークのアトラクションなどアミューズメント向けだ。LEDパネルを組み合わせる構造のため、大きさや仕様を一部変えることができる。観客が映像に没入する感覚をもたらすアトラクションへの需要に対応できそうだ。

すでにユニバーサルスタジオジャパンの人気アトラクション「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー」や7月に東京ディズニーシーでオープンした新アトラクション「ソアリン」など映像没入型アトラクションは国内外で人気を博している。

映像没入型アトラクションの大半がプロジェクターによる投映式とされる。画質と輝度がより高まれば没入感は増すとみられ、LEDドームシステムの拡大余地がある。中国では製造元のLOPU社がアミューズメント施設で導入実績をもっている。ほかにもパイロットの訓練などでも使用される産業用シミュレーターにも商機があるとみられる。

カギを握るのは他用途への展開

街頭の映像広告や大型のデジタルサイネージのディスプレイは液晶ではなくLEDが主流となっている。そのため、特殊な形状の建造物やレストランの天井などで大型ディスプレイを設置する際にも商品を提供できる可能性はある。

パネルを設置するドームの骨格(写真:コニカミノルタ)

ただ、コニカミノルタとしてプラネタリウム以外の用途への販路の本格的な開拓はこれからの話。今回販売するドーム型LEDシステムもまずはプラネタリウム向けでの受注獲得に力を入れる。LEDドームの寿命は10万時間で、年に3000時間(1日約8時間)使うとしても30年使用可能だ。デジタル機器の更新などで近年プラネタリウムは3~10年に1回更新を迎えることが多い。長期間の使用であればコスト面で決して高額ではないことを売りにする。

コニカミノルタはプラネタリウムで放映する映像コンテンツを制作しており、LEDシステムだからこそ出せるコンテンツを増やすことで導入への相乗効果を狙うとする。また同社は2017年からVRにも注力しており、没入型映像表現の制作を強化している。

藤掛氏は「最初の数年は厳しいだろうが、まずは実績を増やしていき次につなげられるようにするのが目標だ」と話す。コンテンツ力を合わせて新しい映像体験をプラネタリウムで広げ、ほかの用途に展開できるかが焦点となりそうだ。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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