投影しない「プラネタリウム」は何がすごいのか コニカミノルタがドーム型ディスプレイ販売
今年4月には富士フイルムが空間表現や演出に特化したプロジェクターを投入して、プロジェクター市場に参入。同社の光学・電子映像事業部の飯田年久事業部長は「空間演出という分野を強化することで飽和したプロジェクター市場を拡大させられる」と強調する。
一方でコニカミノルタプラネタリウムの藤掛曜平取締役は「プロジェクターの投映による映像では限界があった」と指摘。プロジェクターの場合、スクリーンに光を当てて、その反射光を受けることで映像を見ている。あくまで反射光であるため、きらきらと自ら輝く星空を再現する必要があるプラネタリウムでは自ら発光するLEDパネルのほうが適しているのだ。
またドーム型では映像が乱反射することやスクリーンが曲面や球状であるため、投映すると局部でひずみやゆがみが生じる。現在は複数台のプロジェクターを使用して映像の合成を行い、事前に起きうるゆがみに対応する映像を制作して対応しているが、完全にゆがみは取り除けないという。
LEDディスプレイならムラなく映像を出すことができ、「プラネタリウムの映像コンテンツを制作するグラフィックデザイナーが思ったとおりの映像にすることができ、より幅広い映像表現が可能になる」(藤掛氏)。
20年前から構想を練っていた
日本プラネタリウム協議会によれば2015年時点で稼働中のプラネタリウムは国内に330基(設置数は455基)あり、観覧者数は2017年度に872万人と2007年度の730万人と比較しておおむね増加傾向にある。市場自体は堅調なため、プラネタリウムは毎年約10件の更新や新規設置の需要があり、コニカミノルタプラネタリウムも数件受注している。直近では7月18日にオープンした沖縄県石垣島の「いしがき島星ノ海プラネタリウム」を手がけた。
コニカミノルタは20年前からLEDパネルによる映像表現の構想を練っていたが、開発負担が重すぎることがネックとなっていた。今回、LOPU社が開発したものを販売することで、高額な負担を回避して長年の構想を実現させる。
それでも既存の主流となっているプロジェクション方式と比較するとドーム型LEDシステムの導入コストは割高だ。販売を開始するラインナップの中で最大となる直径20メートルのものでは、導入にかかるコストがプロジェクション方式だと一般的に5億円程度とされるのに対し、LEDシステムでは10億円程度になるとみられる。
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