「100万人を投獄」ウイグル人権問題の深刻度 元収容者が証言する強制収容の恐るべき実態

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エジプトで判明したのは、夫が2016年にメヒルグルさんを追いかけて中国に戻り、そこで懲役16年を宣告されたということだった。その後の消息は不明だ。最終的に彼女はアメリカへの亡命を選んだ。メヒルグルさんは、中国の狙いはウイグル文化を消し去り、完全に漢民族と同化させることだという。

中国は3月に「新疆での反テロリズム、極端主義との闘争と人権保障」という白書を出している。収容されている住民は宗教極端思想に染まり、教育程度が低く、中国語の能力が低い人々で、彼らに「職業訓練」をほどこしている、と説明している。憲法や刑法、反テロリズム法などを教え、食品加工からeコマースまで各種の技能訓練を授けているという。

強制収容所で100人以上の死亡を確認

集会ではほかにも10人ほどの在日ウイグル人が証言したが、例に挙げられた被拘束者の多くは大学教授や文化人などの高学歴者で「職業訓練」の必要は乏しそうだ。また、彼らの集計では収容所内で100人以上の死亡が確認されたという。

在日ウイグル人団体の集計では、収容中の死者は100人以上にのぼる(記者撮影)

当局の情報統制が厳しいため、自治区の実態は外部にはほとんど漏れてこない。在日ウイグル人の手にする情報も限られているが、それでも悲惨な現実は十分に伝わってくる。

ある集会参加者は故郷の自宅の写真を示した。監視カメラが設置された門の前に、家族と一緒に漢民族の公務員が写っている。誰かが拘束された家庭には、定期的に公務員が宿泊して挙動を監視するそうだ。その食事代やカメラの設置費用は「監視される側」の負担だという。

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