「100万人を投獄」ウイグル人権問題の深刻度 元収容者が証言する強制収容の恐るべき実態

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7月8日には日本を含めた西側の22カ国が、新疆ウイグル自治区でのウイグル人弾圧を非難する書簡を国連人権理事会に提出した。人権や宗教の自由を尊重し、国連などの調査を受け入れることを求める内容だ。

中国はこれに素早く反応した。7月12日には中国を擁護する国37カ国が、西側諸国の主張に正面から反論する書簡を提出した。「人民を中心にした発展哲学と、発展を通じた人権促進により、特筆すべき成果をあげている」と中国を持ち上げ、その「透明性と開放性」を称揚する内容だ。「新疆ではこの3年、テロが起きていない。人民はより強い幸福感と満足感、安心を感じている」としている。

この書簡には北朝鮮、パキスタン、ミャンマー、カンボジア、ロシアのように中国と密接な国に加え、サウジアラビアやアラブ首長国連邦のような中東の主要国も署名している。また、アフリカからも16カ国が署名した。

外国報道陣をウイグルに招く取材ツアーを実施

中国政府は7月21日には新たな白書を公表し、新疆ウイグル自治区を「中国の不可分の領土」としたうえで「史上最高の繁栄の時期を迎えている」と自賛した。

さらに中国は7月14日から22日まで、アメリカや日本を含む24カ国の報道陣を新疆ウイグル自治区に招き、「シルクロード経済ベルトの中心地を歩く」と題する取材ツアーを実施した。ウルムチに加え、カシュガルやホータンなどの地方都市までを案内したという。中国も多少なりとも情報公開しないと、国際社会の批判をかわしきれないと判断しているようだ。

しかし、新疆ウイグル自治区の実情は極端な秘密主義に覆われ、まったく見えてこない。そのこと自体が、経済成長を続ける中国の本質的な危うさを強く感じさせる。その懸念は本当の「透明性と開放性」を実現することでしか消せないだろう。

西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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