JR新駅がカギを握る「湘南モノレール」の未来 昨年にはPASMO導入、利用者獲得に何が必要か
尾渡氏はこれまで乗客増に向けて、日常利用の増加と観光客の誘致に取り組んできた。全区間で競合する路線バスに対する競争優位確立に向けて列車増発を実行に移し、成果をあげた。路線バスではすでに導入済みのPASMOについても、2018年4月から利用できるようにした。
同時に取り組んでいる駅のバリアフリー化は、物理的および心理的両面でのバリア解消につながり、観光客の取り込みを期待できる。
PASMO導入、湘南江の島駅の改良、列車増発、そしてさらなる積極策の展開によって日常利用の増加と江の島・鎌倉エリアの観光客誘致に向けた環境は整った。今後は、他の駅への取り組みが乗客増の成否を左右する。
JRの新駅設置は「チャンス」
大きなカギを握る駅の1つが、湘南モノレールが本社を構え、車両基地もある湘南深沢駅だ。
同駅の前には、日本国有鉄道(国鉄)改革に伴って鎌倉市が国鉄清算事業団から取得した市有地と、JR東日本所有地などからなる、約31.1haの「深沢地区土地区画整理事業区域」が広がっているが、市役所の本庁舎が移転することが決定している。
また、柏尾川を挟んで近接する藤沢市村岡地区ではJR東海道本線「村岡新駅(仮称)」の構想がある。
新駅設置を要望する神奈川県・鎌倉市・藤沢市(以下、3県市)に対して、JR東日本からは前向きな発言があったという(鎌倉市役所深沢地域整備課『深沢まちづくりニュース』第36号、2019年3月発行)。
今後、2019年度から着手されるJRによる新駅の概略設計を踏まえて、2020年度に新駅設置の見極めが行われ、2021年度には3県市とJRとの間での基本協定締結が計画されている。新駅設置が実現すれば、村岡地区および深沢地区の発展にとって大きな弾みとなる。
半面、新駅と湘南深沢駅が競合状態に陥ることも予想される。そうした見方に対して、尾渡氏は「深沢・村岡地区の開発やJRの新駅設置は大きなチャンス」と一蹴し、「人口増加や経済効果が見込める」と期待感を示す。
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