「湘南モノレール」経営刷新で何が変わったか 三菱グループを離れて約2年、新体制の成果は
湘南モノレールをモデルとした絵本『モノレールのたび』(福音館書店)。同社はこの絵本の復刊発売を記念した列車「モノレールのたび号」を9月10日から10月末まで運転した。
9月10日に大船駅(神奈川県鎌倉市)で行われた出発式には、湘南モノレールの尾渡英生社長、絵本の作者であるみねおみつ氏、福音館書店かがくのともの川鍋雅則氏らが参加。8月末にみねお氏を講師に招いて湘南モノレール本社で開いた「お絵描き教室」参加者の子どもたちから選ばれた2人の「1日駅長」の合図とともに、「モノレールのたび号」を送り出した。
出発式終了後、筆者はみねお氏に話を聞いた。みねお氏は「このたびの絵本の復刊は、尾渡社長の熱意で実現した。尾渡氏からは、絵本とモノレールの両方を伸ばしたいという意欲と文化への理解や造詣を感じる」と、尾渡氏への印象を語った。
利用者増へ相次ぐ積極策
湘南モノレールは、懸垂式モノレールの江の島線(大船駅―湘南江の島駅間6.6km)を運営する鉄道事業者で、2015年6月に三菱グループ傘下から経営共創基盤の100%子会社「みちのりホールディングス(HD)」傘下となった。そして、経営主体の変更に伴い招聘されたのが、双日で部長職を務めていた尾渡氏である。
尾渡氏は社長就任後、社員全員との個別面談を通して、「年間1000万人という乗客数の維持と、それによって得られる収入の範囲内でいかに安全運行を続けるかが優先されるあまり、収入増を目指す発想がなかった」という問題意識を得て、日常利用を増やす取り組みとして、昨年6月に列車増便を実行した。
また、観光客を獲得するために、湘南モノレール湘南江の島駅と江ノ島を結ぶメインストリートへの広告看板設置や、JR・江ノ電・湘南モノレールが1日乗り降り自由の東日本旅客鉄道(JR東日本)の「鎌倉・江ノ島パス」の積極的な告知活動にも取り組んだ。
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