「湘南モノレール」経営刷新で何が変わったか 三菱グループを離れて約2年、新体制の成果は
今年7月3日からは湘南江の島駅駅舎のバリアフリー化工事に着手し、来年には「PASMO」を導入することもすでに明らかにしている。そして、湘南モノレールの知名度を高め、より親しみをもってもらうため、車両見学会などのイベントを積極的に行っている。
一方、若い世代との接点を増やす取り組みとして、インターンシップ(以下、インターン)の全学参加率が95%の湘北短期大学と連携し、湘南モノレール初となるインターン生の直接受け入れに挑戦した。インターンが実現したきっかけについて、湘北短大インターンシップセンター長の飯塚順一教授は「尾渡社長の新たな試みの1つとして、本学とのコラボレーションの形で実現した」と尾渡氏のチャレンジ精神により実現したことを明らかにする。
ICカード導入が遅れた理由は?
湘北短大のインターン生たちは、冒頭で触れた8月末の「お絵描き教室」や同日の午後に開かれた「鎌倉市ふるさと納税車庫見学会」の案内や会場撤収などをこなし、インターン終了後には、尾渡社長と広報課担当者との意見交換会に臨んだ。質疑応答では、次のようなやり取りが交わされた。
学生A:ダイヤ改正による本数増で、増収になったのか?
尾渡社長:早朝と夜の本数を増やした結果、通勤定期3.8%、通学定期1.4%、定期全体3.4%増となった。定期券の発売枚数が増えたのは、たとえば、定期券ではなく回数券を購入して、急いでいる「行き」だけモノレールを利用していた人が、帰りもバスからモノレールへ切り替えた結果であり、増便は成功したと考えている。
学生B:来年ようやくICカードが導入されると聞いた。これまで導入が遅れた理由は?
尾渡:株主・経営者が2年前に変わった。想像だが、前の経営主体はコストが高すぎると判断して導入を見送ったのではないか。経営主体が変わったことで、導入の機運が高まった。しかし、ICカード導入だけでは採算は取れない。集客効果を高めるためには、ICカード導入とバリアフリー化をセットで行うことが大切。トータルで利便性の高い鉄道を目指すことが重要だ。現状では、鎌倉市の観光客が約2130万人、藤沢市は約1860万人だが、モノレールはいまだにあまり選ばれていない。知名度が低いからだ。仮に知ってもらったとしても、ICカードが使えない、バリアもあるでは利用されない。成功するという信念に基づいて、バリアフリー化やICカード導入を進めているということだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら