大混雑の「鎌倉駅東口」、広場改修で増す不安 バス待機所は減少、信号なし横断歩道は残存
次に思いつくのが、横断歩道に信号機を取り付けることだ。だが、鎌倉駅東口ロータリーはその大部分がJR東日本の所有地であり、「道路認定されていない」(市交通政策課)事情などから、これも難しそうだ。
対策として最も現実的なのは、横断歩道への警備員の配置だ。実は今年度からゴールデンウィークなど年間29日のみではあるが、警備員を配置して効果を上げている。「今年のゴールデンウィークは警備員を配置したことで、普段よりも交通の流れがスムーズだった。バスの運転手に聞くと、到着から出発まで5~10分は違うと好評だった」(長嶋竜弘鎌倉市議)。
ただし、これも年間29日の配置で220万円の費用がかかっており、毎日配置することは難しい。また、万一、事故が起きたときの責任の所在が問題になりかねないという。
問題山積、来年どうなる?
これまでに挙げたほかにも、今回の計画はさまざまな問題点がある。1つはタクシー乗り場が横断歩道から5m以内に設置される点だ。これについて県警本部は「道路交通法上は問題となるが、今回は路外として特例的に認めるものとする。ただし、交通規制の対象外となるので、タクシー乗車場に停止する車両があっても取り締まりはできず、事故が起きても警察では関与できない可能性がある」とする。
また、バス停の位置をずらすため、工事後は救急車などの緊急車両が横断歩道をふさぐ位置にしか停められなくなる。さらに、車道が狭くなりカーブがきつくなったことで、ほかの車両が少しでもはみ出して停まっていたりすると、観光バスなどの12m級のバスがロータリー内を旋回するのが難しいなど、今後、さまざまな問題が噴出することが予想される。
これほどの問題がわかっているにもかかわらず、市民からの請願書は、議会で採択10名、不採択12名にて不採択(現計画のまま工事推進)となった。推進派の意見は、「道路の劣化状況等を考えれば、遅滞なく工事を進めることが必要。もろもろの問題は警備員の充実などソフト面で対応すべき」というものだが、それだけで問題が解決するとは、とうてい思われない。
もちろん、問題を抜本的に解決するには、鎌倉市内の渋滞を解消するのがいちばんなのだが、昨年取材したエリアプライシング対応(2018年1月6日付記事「鎌倉市民が悩む『観光渋滞』は解消できるか」)について、松尾崇市長にその後の状況を確認すると「まだ、新しい動きでお伝えできるものがない」との返答だった。
このまま来年の東京オリンピックを迎えたらどうなるのか、不安は増すばかりである。
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