江ノ電の混雑対策、「沿線住民優先」は正解か 鎌倉市の「社会実験」に利用者が下した評価
夏休みはまだ続き、混雑する観光地も多い。
鎌倉ではゴールデンウイーク(GW)に江ノ島電鉄(江ノ電)の大混雑時の対処として、地元住民向けの社会実験を行っている。当日の様子は「大混雑の江ノ電は『社会実験』で快適になるか」で報じたとおりだが、今回はその結果の分析と解決策を新たな取材を交えて考察したい。
「沿線住民が優先入場」の社会実験
上記記事は驚くほどアクセス数が多く、多数のコメントをいただいた。ツイッターも含めすべて拝読した。
実験は鎌倉市が主体となり実施したもので、観光客で大混雑時、江ノ電沿線住民が優先入場(改札外に長蛇の列ができている時に並ばずに優先改札)できるようにするもの。日常の足として江ノ電を使っている住民が、それに乗るのに何十分も待つのではたまらない、という声が多かったためである。優先入場が混乱なく行えるかを実験するとともに、住民、観光客ごとの賛否もアンケート調査した。
実施日時は今年5月3、4の両日、場所は江ノ電鎌倉駅である。沿線住民(在住、在勤、在学)で実験参加希望者は、事前に鎌倉駅などで証明書発行の手続きが必要だった。4日には午前11時ごろから駅改札外への乗車待ちの列が発生し、駅前広場を囲む歩道には最大で約100mの列が発生した。待ち時間は約30分に及んだ。
強調しておきたいのは、江ノ電が休日にいつもこんなに混んでいるのではないことである。毎年GWが突出して混み、次がアジサイの季節。通常夏休み期間中もGWほど混雑しない。
逆にいえば、突出して混む一過性の時期にどう対処するか。
「GWの江ノ電での社会実験は、2020年の東京オリンピック中、交通の混雑と混乱が予想される都内でどういう対策を取るかとも関係していて、都民としてひとごとではない」との意見も複数いただいた。記事の反響が大きかったのは、鎌倉や江ノ電だけの問題ではなく、近年外国人旅行者が増えた京都など他の観光地でも抱える問題のためもあるだろう。
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