大混雑の「鎌倉駅東口」、広場改修で増す不安 バス待機所は減少、信号なし横断歩道は残存

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これに対し、バス会社は「交通安全の面からは終日交通規制を行っていただきたい」「一般車両乗降場を設けると(ロータリーに一般車を)停車できるということが世間に広まり、かえって需要が増える」など、交通規制の継続を前提に一般車両乗降場の設置に反対する。

また、納品車用の荷さばきスペースがないのは、業者にとっては死活問題になるだろう。「今まで荷さばき車両についてはトラブルは起きておらず、お互い譲り合っている状況」(バス会社)というが、バスプールが減り、車道が狭くなれば、譲り合うのも難しくなるのではないか。

タクシープール活用がカギだが…

駅前のスペースが狭いことに起因するさまざまな問題への対応策はいくつか考えられるが、カギを握るのはタクシープールだというのが、複数の関係者の意見だ。

満車状態のバスプール(上)。ほぼ同じ時刻に、タクシープール(下)は1台も駐まっていない(筆者撮影)

タクシープールは工事後も28台分確保されるが、「昼間はほとんど使われておらず、一杯になるのはバスの本数が減る夜や車両の入れ替え時のみ」(請願提出者)だという。つまり、バスプールとタクシープールは主に使われる時間帯が異なるので、時間帯によって台数を増減するなど調整すれば、かなりのスペースをバス降車場、一般車両乗降場、荷さばき用スペースなどとして有効活用できるようになるはずだ。

では、工事計画策定の過程で、タクシープールの有効活用についてきちんとした議論がなされたのだろうか。市とバス会社の面談記録を調べると、「タクシープールを使えないから、バスプールが分かれている。(タクシープールを)使えるならすでにそうしている」と、最初から調整を諦めているようなバス会社の発言がみられる。

また、市と県警本部との面談では「(鎌倉はタクシー会社ごとにプール内のレーンが決まっているが)会社に関係なく並ぶ形態にすれば、28台分も必要ないのではないか」との県警本部の質問に対して、市は「タクシー事業者からは現況どおりの運用としてほしい旨の要望を受けており、本計画ではそのとおり反映している」と回答するにとどまっている。

これらは個別の意見交換にすぎず、利害関係者がそろった場できちんと議論した形跡は見当たらない。今からでも、きちんとした議論をすべきなのではないか。

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