若尾:僕は鉄道や公共交通を使う気持ちがポジティブになってほしいと思っています。しょうがないから電車に乗る、例えば通勤電車はこれがないと目的地に着かないから乗るしかないと、今は残念ながらそういうふうに思われている部分もあると思うのです。それに乗って行きたいなと思っていただけるような、そういう移動の道具がつくれるといいなと考えています。
北嶋:私は鉄道ファンでもあるのですが、やっぱり(鉄道には)ファンだけが感じる魅力ではなく、普通の人も感じられる魅力がたくさんあると思います。交通機関は今、さまざまな意味で転換期だと言えますが、その中で改めて鉄道がどういう魅力を発信するのか。そこを掘り下げていく、または新しくつくっていくのがわれわれの仕事の中で必要になってくるところかなと考えています。
デザインの持つ可能性
――皆さんのお話を聞いていると、デザインの可能性って私たちが認識している以上にありますね!
山田:美しいモノがあると心地よくなるのですよ。心地いい、心安らぐというのは「安心」ということ。安全と安心はかなり違っていて、安全はテクノロジーでなんとかなっても、安心はそうじゃないですね。
安心というのは、母親のお腹の中にいたときの守られていたあの感覚が身体に残っていて、そういう状態に近づいた瞬間に感じるのじゃないか。それは固有の文化かもしれない。そのメカニズムを説明して、本当の安心を提供できるようにしていくっていうのが僕らの仕事じゃないかなと思うのです。
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