避難指示が出ても逃げ遅れてしまう人の心理 豪雨災害から身を守るために必要な4指針

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平時にしておくことは、以上の2点。そして、大雨の予報が出たときには、【3】と【4】を実行する。

自分で決めたルールに基づき、行動を起こすには、判断や行動の根拠となる情報が必要となる。情報を得るには、行政から警報や避難情報が発令されるのを待つのではなく、スマホやパソコンを駆使して自らリアルタイムの気象・防災情報を取りにいく。

その際、雨雲の動きをチェックする「雨雲レーダー」 、土砂災害の危険度を知る「土砂災害警戒判定メッシュ情報」 、全国の河川の水位情報を知る「川の水位計(危機管理型水位計)」 などが使える。

情報を待つのではなく自ら取りにいく

自分から情報を取りにいき、もし【2】で決めた「自分なりの避難ルール」に合致する状況になったら、すぐに避難行動を開始する。

三隅さんが示した「4つの指針」は、非常時の危機感や切迫感といった正常性バイアスに影響されやすい曖昧な感情や感覚ではなく、平時の冷静な頭で考えた自分なりのルールで避難行動を起こすかどうかを基準としている。

『ドキュメント 豪雨災害』(山と溪谷社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

実際、被災地の取材では、事前に行動のルールを決めていたことで、“危険を感じる前に”避難行動を起こし、自分や家族の命を守った方にも話を聞くことができた。

危機感や切迫感はたしかに避難行動を起こすスイッチになりうる。しかし、人はその危機感をなかなか持てないものだし、危険を感じたときにはすでに避難の選択肢が限られ、逃げ遅れてしまうことも多い。だからこそ、平時から判断・行動のルールを決め、家族とも共有しておく。

そうすれば、災害が起こりつつあるとき、正常性バイアスのわなを回避して、「決めたことだから」とシステマチックに避難できるのではないだろうか。

谷山 宏典 フリーライター

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たにやま ひろのり / Hironori Taniyama

1979年愛知県生まれ。明治大学文学部史学地理学科卒業。大学在学中に体育会山岳部に所属し、卒業後の2001年には明大隊の一員としてガッシャーブルム1峰(8068m)と同2峰(8035m)に登頂。その後、編集プロダクション勤務を経て、2009年フリーのライターに。雑誌やウェブサイトでの記事執筆、単行本のブックライティングなど、幅広く活動する。

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