安倍首相が認めたくない外交上3つの「悪夢」 トランプ大統領にだいぶコケにされている

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安倍首相にとって3つ目の悪夢は、来るアメリカとの2国間貿易協議になりそうだ。中国との交渉が崖っぷちから離れたことで、アメリカ通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー氏率いるアメリカの交渉担当者は、日本に焦点を当てることができるだろう。そして、トランプ大統領が、日本のアメリカへの自動車の輸出を制限する合意を強く進めたいと考えていることは明らかである。

「日本とは交渉している。なぜなら日本は何百万台という自動車を輸出し、われわれは小麦を輸出しているのだから」とトランプ大統領はG20で報道陣に述べた。「これではうまくはいかない」 。

安倍首相ほど軽んじられたリーダーはいない

「ライトハイザー代表とトランプ大統領が一方的な要求をするのを聞くのに少しうんざりしている」と、日本側の関係者は明かす。「こちらは確固たる姿勢で対応し、最終的には『最後の一線』を守りたい」。

日本の自動車の輸出を規制する合意は、中米貿易戦争の影響をすでに感じ、秋には消費税が上がる日本経済にとっては最悪なものになりかねない。しかし、当面、安倍首相はアメリカとの親密で友好的な同盟関係のイメージを保持しておく必要がある。 

「外交は、いつも計画どおりにいくとはかぎらないものであり、とくに台風のようなトランプが関わっている場合はそうだ」と、テンプル大学のキングストン教授はコメントしている。「トランプ大統領と関係して面目を失ったり、消え去ったりした人は多数いるが、安倍首相ほどはっきりと恥をかかされたり、軽んじられた世界のリーダーはほかにはいない」。

「安倍首相はこれが悪夢であることをわかっている」と、日本のベテラン政治ジャーナリストは話す。「しかし、安倍首相はそれが普通であるかのようにみせるためであれば何でもするだろう。悪夢であることを認めることは、トランプ政権に対する外交がみじめに失敗したことを認めることになるのだから」。

ダニエル・スナイダー スタンフォード大学講師

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Daniel Sneider

スタンフォード大学ショレンスタインアジア太平洋研究センター(APARC)研究副主幹を務めている。クリスチャン・サイエンス・ モニター紙の東京支局長・モスクワ支局長、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙の編集者・コラムニストなど、ジャーナリストとして長年の経験を積み、現職に至る。

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