大人がこぞってハマる最新恐竜学の「新常識」 始祖鳥は実は大空を飛び回らなかったかも
――国立科学博物館で7月13日から開催される「恐竜博2019」では、謎の恐竜デイノケイルスについて、全身復元骨格を世界で初めて公開すると聞きました。デイノケイルスはどの辺が謎だったのでしょうか?
1965年、モンゴル・ゴビ砂漠で発見された長さ2.4mの前あしの化石をもとに、この恐竜には「恐ろしい手」を意味するデイノケイルスという学名がついたのですが、その後、前あし以外の化石が見つからず、前あし以外は謎の恐竜とされてきました。そのカギヅメ状の手の形から、肉食恐竜だと考えられていました。
まるでキメラ、謎の恐竜デイノケイルス
しかし2006、2009年、頭骨や胴体、後ろあしなどを含む2体の化石が発見され、想定外の特徴をもつ恐竜だったことが明らかになったのです。
その形は、スピノサウルスのような帆をもった背、幅広のクチバシ、肉食恐竜のように鋭く尖った前あしの指先、草食恐竜のヒヅメのような後ろあしの指先……、まるでキメラ(合成獣)のような複合的な不思議な特徴を持っていました。
――デイノケイルスは7月7日放送のNHKスペシャル「恐竜超世界」でも、クチバシをもち、羽毛をもった抱卵する恐竜としてCG復元されているようです。肉食恐竜のタルボサウルスにも襲われていましたが、植物食恐竜だったのでしょうか。
デイノケイルスの化石からは、多くの胃石なども見つかりましたが、これは植物を消化するために役立つ構造です。
長い前あしは熊手のように植物を寄せ集める役割をしていたのではないかと考えられています。また、お腹から魚の骨も見つかっていることから、魚食と植物食を行った雑食性の恐竜ではないかと考えられています。
――そうなのですね。恐竜研究がアップデートされることで、肉食恐竜と思われていたデイノケイルスがじつは雑食性であったことなど、学説がガラッと変わるどんでん返しがこれからも発表されるかもしれません。
はい、例えば1924年に発見されたオビラプトルは、化石が発見されたときの状況証拠から「卵泥棒」という意味の命名がされましたが、1993年には泥棒どころではなく、じつは自身の卵をあたためていたことが判明しました。これは恐竜学ではあまりに有名なエピソードですが、こうした驚くような発見や新説が生まれてくるところも恐竜学の魅力です。
恐竜が生きてきたのは1億6000万年もの時間であり、地球史レベルでみても人類よりはるかに長い繁栄の歴史を誇ります。爬虫類から恐竜、そして鳥類へという進化のダイナミズムとまだ謎に包まれた部分、それは大人をも十分魅了するものではないでしょうか。
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