テクノロジーごときを「神」と仰ぐ人間への疑問

人がAIに支配される時代を前にした心積もり

人間(ホモ・サピエンス)は時代遅れになるかもしれない(写真:metamorworks/iStock)
現状のままAI(人工知能)が進歩し続けると、2045年くらいに人間を超えるAIが誕生するという予測があり、これが「シンギュラリティ」(技術的特異点)と呼ばれている。そのとき、人間存在の意味はどこに見いだせるのか。あの300万部を超えるベストセラー『世界の中心で、愛をさけぶ』を著した片山恭一氏の新著『世界の中心でAIをさけぶ』から一部を編集してお届けする。

新しい宗教が生まれつつある。その名を「シンギュラリティ」という。

ええっ! シンギュラリティって宗教なのか?

その通り。シンギュラリティは21世紀の新しい宗教だ。しかも70億を超える人類すべてを帰依させる力を持つ、いまだかつてわれわれが体験したことのない全体的かつ統制的な宗教である。現在進行中の出来事を、大雑把だけれど本質的なところでとらえるためには、そう考えるのがいいように思う。

インターネットを中心としたコンピュータ技術の飛躍的な進歩によって、膨大なデータを迅速に処理できるようになったことが根底にある。これが全人類を巻き込んで、ぼくたちをまったく未知の世界に連れていこうとしている。

シンギュラリティが秘める可能性

シンギュラリティが本質的な意味で「特異点」であるのは、それが単なる技術革命や機械革命ではなく、人間という生き物の意味を変えてしまい、延いては全生物の運命を変える可能性を秘めているからだ。コンピュータ技術にバイオテクノロジーや遺伝子工学などの生命科学が結びついたことが最大の要因である。

一つの例を挙げれば、クリスパー・キャス9(CRISPR-Cas9)という遺伝子編集ツールの発見と普及がある。ポイントは低コストと使いやすさだろう。「先進的な生物学研究所で数年かかったことが、いまでは高校生が数日間でできる」と言われるぐらいだから、生命科学の世界におけるスマホみたいなものだ。

この簡易にして強力なツールの登場により人間は全生物のゲノムを思い通りに書き換える能力を手にしようとしている。遺伝情報の流れを操作し、人類の進化のみならず地球上のあらゆる生命を遺伝子レベルで指揮し、統制する時代が到来しようとしている。

次ページ人間に代わる新たな人類
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • 本当は怖い住宅購入
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
トレンドライブラリーAD
人気の動画
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
不祥事続く三菱電機、「言ったもん負け」の特異体質
不祥事続く三菱電機、「言ったもん負け」の特異体質
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT