「ジョンソン新首相」ならブレグジットは大混乱 高まる総選挙、2度目の国民投票のシナリオ
ジョンソン氏は、ブレグジットによってイギリスは関税同盟と単一市場から脱退し、移行期間(離脱後の経過措置)の間にEUと包括的な自由貿易協定(FTA)を結ぶことを目指す。そして離脱の方法として、次の3案を示している。
プランAは、北アイルランドとアイルランドの国境管理における「バックストップ(安全策)」条項のない「よりよい離脱協定」での離脱だ。
バックストップとは、アイルランド紛争の和平合意(1998年ベルファスト合意)を守り、税関などの物理的な国境の設置を回避するため、その回避策が見つかるまで移行期間終了後もイギリス全体がEUの関税同盟に残り、北アイルランドはEUの一部規制下にもとどまるという措置だ。これに対し、ジョンソン氏ら保守党の離脱強硬派は、関税自主権が半永久的に失われるとして反発。保守党に閣外協力する北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)も反対したことが、議会で離脱協定が3度も否決される原因となった。
EU側の反対でプランCしか選択肢はないが・・・
ジョンソン氏は離脱協定からバックストップ条項を撤回し、技術活用による国境管理問題の解決策を目指す方針。そのため、離脱協定の修正でEUに再交渉を求める見込みだ。
プランBは、関税および貿易に関する一般協定(GATT)24条を適用し、「現状維持協定」を締結することで、新たなFTA締結まで現状の貿易関係を維持するというもの。離脱協定がなくても移行期間を設定できるという主張だ。
そして、プランCは合意なき離脱だ。ジョンソン氏は新聞のコラムで「分別のある者は合意なき離脱を目指しはしないが、責任ある者は交渉のテーブルから排除しない」と書いている。また、ハント外相に宛てた最近の書簡の中で「10月31日に離脱することが、われわれの民主主義への信頼を取り戻す唯一の道だ」と述べている。
対するEU側は、離脱協定は再交渉しないとのスタンスを変えておらず、プランAの受け入れを拒否している。プランBも、移行期間は離脱協定の一部であり、その合意をもって設定されるべきものとして否定済みだ。となると、今のままではプランCしか選択肢がないことになる。
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