先祖供養に「遺骨は必要ない」という衝撃事実

身体はあくまでも「抜け殻」にすぎない

面白いのは中四国なんかの場合ですと、さらしの袋に入れてガンガンたたいて遺骨を粉々にしたりする地域もありますからね。お骨を砕くのに躊躇ない地域もあるんですよ。

そういう風習が実際にあることを知っている身としては、粉骨なんて自分でやればいいじゃないかと思ってしまうわけです。別に特殊な技能が必要なわけでもなく、たださらしの袋に入れてたたいて砕けばいいだけなのにもかかわらず、なぜ他人に頼むのか。

物理的にはできるけれども精神的にはできないというのもあるでしょうし、これは現代の人たちが「宗教的なもの」との距離をうまく測れないという面もあると思います。

仏教では「骨」を特別扱いしない

本来、仏教的な価値観からすれば仏陀の骨でもない限り、特別な扱いはしないものですからね。それこそ仏教が生まれたインドでは死体ごとガンジス川に投げているわけですから。

インドのガンジス川のほとりで遺体を焼いている人々のことを「ドム」というのですが、彼らが遺体を焼くときは施主が出す薪代によって焼き加減が変わってくるわけです。

使える分の薪が燃え切ったらいくらレア焼きだろうが、ガンジス川にどんどん遺体を投げ入れていくんです。輪廻思想がありますから肉体は死んだら抜け殻でもう用はないというわけです。

日本でも平安時代あたりから仏教思想が一般化してきたのでそのような考え方で、京都の鳥辺野・化野・蓮台野などに死体を捨てていたわけです。

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当時の朝廷は、喪葬令で「死体を道に捨てるな」という御触れを出さなければいけないほどでした。京都の朱雀大路の溝が詰まるくらいに死体が捨てられていたりとか、飢饉のときなんかは鴨川が死体でいっぱいになるなんてことはザラにあったわけです。それくらい日本も遺体に対しての畏敬の念はなく、かなり雑に扱っていたわけです。

鎌倉幕府も室町幕府も初期の頃の江戸幕府も死体を捨てるなという御触れを出しているわけです。とくに老人や病人なんですが家の中で死なれると死穢(しえ)といって忌み嫌われるっていうのがありますから、死にかけの人間を簀巻きにして家の外に投げるんですよ。そういうことをやっていた地域というのは全国的にありますから、当時の幕府は「老人と病人の死体を捨てるな」と言い続けていたわけです。

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