元ユニクロ社員が熱望した「褒める社内SNS」 ドコモの支援プログラムに集まるスタートアップ⑤

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互いに気づいた点を投稿することで、職場の意思疎通が深まり、優れたサービスの事例は部署を超えて共有される。多くの「いいね」がついた事例は、ほかの店舗にも送信され、全社で共有される仕組み。カードを送られたスタッフも、「みんなに認めてもらえた。これからもよいサービスをやっていこう」とモチベーション向上につながる。従業員同士が感謝の気持ちを伝える「サンクスカード」のウェブ版、スマホ版だ。

なぜ褒めなければならないのか

今西CEOが強調するのは「現場では毎日、スタッフがすばらしいサービスを提供しているが、ほかの店舗や経営陣には伝わらない。すばらしいサービスは全員が認め、もっと褒める必要がある」ということだ。

しかし、サービスの現場では、そう簡単ではない。ユニクロでは、店長もレジに立ち、試着ルームで顧客のジーンズの裾上げをし、商品を陳列するなど多忙そのもの。スタッフを見かけると、どうしても「売り場にゴミが落ちていたぞ」「陳列の順番が違うんじゃないか」とネガティブなコミュニケーションになりがちだった。今西CEOは「こまめにスタッフに声をかけて士気を上げ、成果を出すのは一握りのカリスマ店長しかできない。僕自身もなかなかできていなかった」と振り返る。

イノベーションビレッジのプログラムに参加した理由は、法人が取引先となるBtoBの業態ゆえに、信用力が最も重要だと考えたからだ。ドコモのバックアップを受けることで、営業でも優位に立てると考えている。サービスの本格稼働は今年4月、ドコモと連携し、小売業などのサービス業を中心にサービス導入を提案していく計画だ。先行事例として、全国に2400店を数えるドコモショップへの導入も狙っている。

サービスの完成形として目指すのは、現場の負の問題を解消する総合的なプラットフォーム。「すべての働く人々が職場でお互いに認め合うことよって、会社だけでなく、世の中は劇的に変わる。この点にこだわってやっていくことで、多くの会社に導入してもらいたい」(今西CEO)。果たして、サービス構想のきっかけとなった古巣ユニクロに導入される日は来るだろうか。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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