介護士34歳男性が「孤独」から逃れられないワケ 校庭で暴れて転校、ユーチューバーを脅迫

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「介護職場なら、面接さえ受ければ、どこでも働けるという人もいますが、僕の場合、100カ所以上面接を受けても、採用されるのは3、4カ所くらい」とケンゴさんは言う。

なんとか採用されても、デイサービスのような利用者や家族とのコミュニケーションが求められる通所施設では、上司からの評価は低く、待遇を切り下げられてしまうこともある。結局、働き続けられるのは、利用者全員が認知症の生活保護利用者で、本人とも、家族とも話す必要のないような入居施設。ただ、そうした職場では、職員の待遇もまた最低レベルどころか、法令違反の働かされ方が横行している。

「僕の周りで、介護の仕事を好きでやっている人はいません。ほかに行き場のない人たちです。自分もこの仕事に向いているとは思えない」

基本的に理知的で、温厚なケンゴさんは、介護の仕事にやりがいを感じているわけではないが、極端に手を抜くこともない。ただ、同僚の中には、おむつ交換をさぼったり、「うんこ、食うんじゃねえ!」「早くしろ!」といった暴言を吐く人もいるという。

最近は、介護職場の待遇も改善されたとの声も聞くが、はたして本当にそうか。ただ二極化が進んでいるだけなのだとしたら、何の問題解決にもなっていない。

繰り返される「さみしい」

ケンゴさんは現在の暮らしを「悪くもないけど、よくもない」という。

仕事はあるが、いつ失業するかわからない。そうなったら、再び生活保護を利用するしかないので、住宅扶助内に収まる家賃5万円のアパートから引っ越すこともできない。アパートの台所は自炊できるだけの広さがなく、弁当を買うしかないのだが、コンビニ弁当は高いので、近所のスーパーで値引きされた弁当を買う。職場に行けば、同僚はいるが、友達はいない。そろそろ結婚相手を探さなければと思うが、あてはない。要は、先が見えない、というのだ。

そして、こう言ってため息をつく。「独りはさみしい」。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵 ジャーナリスト

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ふじた かずえ / Kazue Fujita

1970年、東京生まれ。北海道新聞社会部記者を経て2006年よりフリーに。事件、労働、福祉問題を中心に取材活動を行う。著書に『民営化という名の労働破壊』(大月書店)、『ルポ 労働格差とポピュリズム 大阪で起きていること』(岩波ブックレット)ほか。

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