タレント事務所「インディーズ映画」参入の背景 広末、有村らの所属事務所が積極的に関与
演技派女優をマネジメントするフラームには、広末涼子、有村架純、戸田恵梨香、吉瀬美智子らをはじめ、映画、ドラマ、CMなど幅広いジャンルで活躍する18人の女優たちが所属している。
その中で辻村氏が担当するのは先述した徳永えりのほか、松本穂香、山口紗弥加、山口まゆ、田畑志真など5人。もともと辻村氏は有村架純が「あまちゃん」などに出演していた頃に、彼女のマネジメントを担当していた経験があり、彼女との仕事を通じて映画やドラマなど映像の世界に触れ、経験を重ねていった。
若手映画監督とのタッグが飛躍の契機に
その後、辻村氏は松本穂香の担当となる。後に彼女はauのCMや、ドラマ「ひよっこ」「この世界の片隅に」などで注目を集める人気女優となるが、辻村氏がマネジメントをはじめた当時は、まだまだ知名度のない新人だった。有村との仕事でメディアとのつながりができていたとはいえ、そんな彼女を売り込むのはなかなか難しかったという。
そこで、辻村氏は若手の映画監督とタッグを組めないかと考えた。当時、知り合いの映画会社プロデューサーから、近未来SFアクション『SLUM-POLIS』などで注目を集めていた気鋭の20代監督・二宮健を紹介されることになる。
そこで辻村氏は二宮監督がYouTubeで発表していた『MATSUMOTO METHOD』『MATSUMOTO REVOLUTION』という2本の短編映画に着目する。二宮監督の友人である無名の俳優・松本ファイターを主役に迎えたこれらの作品を観た辻村氏が「このシリーズの最新作を作りましょうよ。“松本つながり”で、松本穂香と戦わせたらどうでしょう」と、二宮監督に呼びかけ、製作されたのがシリーズ三部作の最終章となる『MATSUMOTO TRIBE』だった。
無名の俳優が映画のオーディション会場に乱入し、映画監督に映画出演を直訴し、玉砕するさまを虚実入り交じる疾走感とともに描き出した作品だ。松永大司、菊地健雄、小林達夫といった映画監督から、女優の松本穂香まで実在の映画人が実名で登場し、それぞれに強烈な印象を残す。まさにインディーズ映画でしか体験できない疾走感あふれる作品世界は、多くの反響を呼び、上映館となった新宿武蔵野館にも多くの観客が詰めかけた。
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