タレント事務所「インディーズ映画」参入の背景 広末、有村らの所属事務所が積極的に関与

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さらに現在、キネカ大森で凱旋公開中の『疑惑とダンス』は、『MATSUMOTO TRIBE』の二宮監督が徳永えりを主役に迎えたインディーズ映画で、フラームが配給を担当している。

フラーム自らが配給した二宮健監督、徳永えり主役の『疑惑とダンス』 (写真:配給会社提供)

二宮監督が主宰する、新進気鋭の映画監督たちの作品を一挙上映する映画祭「SHINPA(シンパ)」の上映作品として製作された同作は、結婚を控えているカップルを祝福するために集まってきた大学時代のダンスサークルの仲間たちを描いたワンシチュエーションドラマだ。仲間たちの祝福ムードは、そこにいた1人の男の場違いな告白により、結論の出ない痴話ゲンカへと発展していく――。

「二宮監督から、『SHINPA(シンパ)』で上映される作品がなくて。何かやれないですか、と相談を受けて出来上がった映画です。イベントで上映したら、けっこう評判がよく、上映館も全国8館くらいまで広がりました。われわれが配給的な仕組みも含めてインディーズ映画にしっかりと取り組んだのはこれが初めて。映画の仕組みを勉強することができました」(辻村氏)

同作は3月に渋谷ユーロスペースで上映され、連日トークショーを実施。門脇麦、戸田恵梨香、大野いと、伊藤沙莉、有村架純といった豪華ゲストが連日来場したことも話題を集めた。現在のキネカ大森凱旋上映は、その好調を受けて行われたものだ。

「純度が高い作品」に出演させたい

現在公開中の『月極オトコトモダチ』も徳永えりの主演作だが、製作体制は完全なるインディーズ映画だ。メガホンをとったのは、OLと映画監督の二足のわらじを履く穐山茉由監督。オファー当時、辻村氏は穐山監督との接点がなく、気鋭の映画監督とアーティストが組んだ映画制作企画を具現化する映画祭「MOOSIC LAB」の出品作として製作されることくらいしか判断材料はなかったという。

「正直、オファー当時は公開の規模感もわからなかった。でも、近年話題の『MOOSIC LAB』の企画であるということと、若手の監督とご一緒したいという思いもあって、監督からのオファーをお受けすることにしました。しかし結果的にその作品の評判がよく、東京国際映画祭のスプラッシュ部門にノミネート、『MOOSIC LAB』でもグランプリを獲得することができ、今回、公開を迎えることができて本当によかったです」

辻村氏は、常々「“純度が高い作品”をやりたい」との思いを抱いていた。「所属している女優が売れてくると、いろいろなところからオファーをいただけるようになり。本当にありがたいなと思うんです。ただその反面、彼女たちのことがよくわからないままに、ネームバリューだけでオファーをいただくこともあった。

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