「芸能人の政権批判」にアメリカ人が寛容な理由

佐藤浩市は「三流俳優」とまで非難されたが

映画『空母いぶき』で自身の演じた役に関するコメントについて批判された、俳優の佐藤浩市。芸能人の政権批判が許されない日本と、政治家でさえ笑い種にするアメリカの差とは?(写真:つのだよしお/アフロ)

今月24日から公開中の映画『空母いぶき』をめぐって、俳優の佐藤浩市の発言が波紋を呼んでいる。

映画公開前のインタビューで、佐藤は総理大臣役を演じるにあたり、「彼(劇中の総理大臣)はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです」と答えた。

佐藤は、ひとことも「安倍首相をモデルにした」とは言っていない。にもかかわらず、作家の百田尚樹が「三流役者が、えらそうに!」、幻冬舎の見城徹社長が「最初から首相を貶(おとし)める政治的な目的で首相役を演じている映画など観たくもない」などツイッターで佐藤を批判。さらに、こうしたツイートに対して、彼を擁護する反対意見が相次ぐ騒動となっている。

実際、佐藤が安倍首相を批判するつもりだったかはわからない。とはいえ、アメリカに住む筆者は一連の騒動を知って、違和感を覚えた。

大統領でさえ「ネタにする」アメリカ

現在、アメリカの映画館ではシャーリーズ・セロンとセス・ローゲンが主演する『Long Shot』が上映されている。大統領選をテーマにしたこのコメディー映画には、架空の大統領が登場する。

元テレビ俳優で、自分の過去の出演作を見ては自画自賛するナルシスト。今も実は政界よりも芸能界のほうに魅力を感じている彼は、どこからどう見ても、「デキる大統領」には見えない。

こう聞いただけで、誰がモデルになっているのかは容易に想像がつくだろう。しかし、監督のジョナサン・レヴィーンによると、トランプだけでなく、ロナルド・レーガンやジョージ・W・ブッシュ元大統領も参考にしているそうだ。

映画にはカナダの首相も登場する。アメリカの大統領に比べて若く、洗練されている彼もまた、実在の誰かを連想させる。レヴィーン監督は、「そういった人々を出してくることで、この映画は現実離れしていると観客に“感じさせず”にすむ」と語っている。

この大統領像について、トランプ支持者からの不満や批判はとくに聞かれない。安倍の「あ」の字も言っていない佐藤が大バッシングされた日本とは、対照的だ。

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