「芸能人の政権批判」にアメリカ人が寛容な理由

佐藤浩市は「三流俳優」とまで非難されたが

一方で、風刺をポジティブな結果につなげた人もいる。共和党の下院議員ダン・クレンショーだ。

政治家に転身する前は軍隊に所属し、アフガニスタンで右目を失った彼は、いつもアイパッチを付けている。その彼が昨年秋の選挙で当選したとき、「SNL」のコメディアン、ピート・デヴィッドソンは、「この人が国会議員なんて信じられる? ポルノ映画に出てくる悪者みたいだよね」と言った。

「不適切なジョーク」に批判殺到

当然のことながら、この不適切なジョークには、全米から批判が殺到。翌週、番組はクレンショー本人に出演を依頼し、全米が見守る中、デヴィッドソンはクレンショーに謝罪した。デヴィッドソンが、「彼はヒーロー。尊敬されるべき人です」と言うのを聞き、クレンショーは、「共和党議員をいい人に見せてくれてありがとう」と言って、笑いを取っている。

その後、彼のポケットの中の携帯が鳴り、その着メロが当時デヴィッドソンと破局したばかりのアリアナ・グランデだったという展開があった。そこでクレンショーはデヴィッドソンを見て、「何? 知っている人なの?」と聞くのである。もちろん、そういった“仕返し”ジョークは、番組の脚本家が書いたものだが、生中継でこれをやってみせることができるとは、彼もなかなかのものだと思った。

そして最後に、彼はこの機会を利用し、視聴者に向けて退役軍人への理解を求めるメッセージを送ったのだ。番組とデヴィッドソンは誠意のあるところを見せられたし、まさにウィンウィンである。いや、災い転じて福となすと言うほうが正しいか。

いずれにしても、政治家とその支持者には、これくらいのことにはどんと構える度量を見せてほしい。小さなことでいちいち目くじらを立てているほうが、もったいない。彼らには、もっと難解で重要な問題がたくさん待ち構えているのだから。

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