ハリウッド女優が熱中する怪しい商売の正体 グウィネス・パルトロウが映画に出ない理由

拡大
縮小
『ピープル』誌の「最も美しい人2013年版」に選ばれると同時に、『スター』誌では「最も嫌いなセレブ」1位に選ばれ話題を呼んだグウィネス・パルトロウ(写真:Laurent KOFFEL/Gamma-Rapho/Getty Images)

ハリウッド女優のグウィネス・パルトロウが、スクリーンからご無沙汰している。そう聞いて「そう言えばそうだなあ」と思うのは一定世代で、若い人は彼女がかつてトップ女優だったということすら、知らないのではないだろうか。

ここ10年くらいは、せいぜいマーベル映画の『アイアンマン』の恋人くらいしか演じていないのだから、それも当然だろう。だが、彼女は今も決して暇ではない。いや、むしろ、昔以上に忙しいくらいだ。彼女が手掛けるビジネス「Goop(グープ)」の成長が止まらないのである。

ナチュラルで洗練されたライフスタイルをうたい、美容やファッション関係の商品を販売してきたGoopは、この夏、アメリカのファニチャーブランドCB2とコラボレーションし、新たに家具のデザインにも進出した。

過去に「年収2万5000ドル(約280万円)の人の気持ちがわかるフリなんてできないわ」という発言をして攻撃された彼女らしく、カジュアルブランドとはいえ、ソファが5800ドル、いすが3300ドルもする。それらに手が出ない人のため、10ドル前後のコップやエッグスタンドを用意しているところも、なかなか賢い。

「良いものは、高いかもしれない。でも、お金がないからといって、それらにまるで手が届かないというわけではない」というパルトロウの信条と一貫してもいる。

「ただの趣味」がビジネスに急成長

ハリウッドには昔から、「女優はオスカーを取ると、その後キャリアが落ちる」という、根拠がなくはない説がある。パルトロウは1998年の映画『恋におちたシェイクスピア』でオスカー主演女優賞に輝いているのだが、彼女の場合は、女優として仕事が来なくなったからGoopを始めたわけではない。

1990年代半ば、主にハーベイ・ワインスタイン(映画プロデユーサー。「#MeToo」問題の発端でもある)率いるミラマックスの映画で注目されたパルトロウは、ファッションセンスのよさや、ブラッド・ピットと婚約したことなどで、女性たちからあこがれのまなざしで見られる存在だった。トレンドセッターとしてはトップを行くマドンナとつるんでいたことも輪をかけ、彼女がお気に入りと呼ぶものは、次々話題になっている。そんな彼女が、ミュージシャンのクリス・マーティンと結婚して、妻、母という肩書を得た後、趣味で始めたのが、ニュースレターのGoopだった。

次ページ動機は「金儲け」じゃなかった
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT